[コメント] リベリオン(2002/米)
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感情を抑制する社会への反逆の物語なのに、主人公はほとんど感情を見せない。「あわてて走る」だの「動揺してまぶたパチパチ」だのといったしょうもない小芝居で感情の発露でございと言われても、あわてて走るくらいのことならサザエさんだって日常的にやっている。ガンカタというアイデア自体は面白いのに、「無表情で変なポーズキメてバンバン拳銃を撃つのがカッコイイぞ!」というそもそもの思いつきの出発点から一歩も進まないまま映画を作ってしまっているのがまずいのだ。だから前半で消化しておくべき「ガンカタ対ガンカタの攻防」が映画のラストにくるような、眠たい映画になってしまうのだ。
ガンカタは明らかに「銃の型」で、そのネーミングセンスは面白いなあと思いつつ『リベリオン』を観ながらこの「型」という概念を考えずにはいられなかった。嘘発見器のくだりが、ガンカタこそが人間の本当の敵であることを明白に示している。感情ゼロの状態ではじめて発動するガンカタアクション・・・そこに人間の勝利はあったのか。結局この主人公は「型」にはまったまま一歩も動かなかった。ガンカタの名手であるところの主人公は、最後にはガンカタを捨て型を脱することで型を超えた人間の感情の爆発を見せなければならなかったのではないか。科学と計算による武道とされるガンカタのアイデアは確かに面白いが、映画は最後にはそのガンカタ神話をも打ち壊し、人間賛歌を歌わねばならなかったのではないか。だからラストの対決は「最強のガンカタ使い対ガンカタを捨てた主人公」でなくてはならなかった。クリスチャン・ベールみたいな小僧と比較するのも申し訳ないが、はっきり言ってこれがスタローンなら、その巨大な感情だけで嘘発見器は煙を吐いて爆発し、マンガみたいにバネがビヨーンと飛び出ていた筈だ。そういうことです!
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