なんせ冒頭からメタメタ展開が続いて疲れる。マトリックスで人生変わっちゃったボンクラ。曲がりなりにも完結したのに4作目作るのかよ問題。他にもいろいろあったが多すぎてよく思い出せない。

ユエン・ウーピンがいないと無残なものだ。マトリックス以後にハリウッドを席巻したオレの嫌いな『ボーン・アイデンティティ』スタイルの、カット割りまくりカメラブレまくり何やってんだかガチャガチャして全然判らんインチキアクションを延々と見せられる。アクションが細切れなので運動美の快感ゼロのうえ、格闘に強弱や緩急の展開設計、要するに物語がないので盛り上がりようがない。こいつらウーピン先生から何も学ばなかったんだなということがよく判ります。

ウォシャウスキー兄弟改め姉妹、今回は姉のみが監督だが話法が曲がりくねっててたいへんまどろっこしい。『マトリックス』1作目ではそれが勿体ぶった効果を生んでいたのだが、2作目以降はどうにもタルい。今作も非常にタルいので、なるほど正当な続編なんだなーとは思った。今回の大きな変化は、我々の現実＝劇中の仮想世界マトリックスを嘘だからブチ壊せとするのではなく、今よりマシにしていこうぜというメッセージにある。だからマシンとの共生が描かれる。

今回ネオはさっさと（イヤまどろっこしいけど）目覚め、彼が救う眠れる森の美女はそのまんまトリニティーだ。彼女は「空に虹をかける」のも悪くないと言う。勿論トランスジェンダーの話であり、レインボーカラーはLGBTの象徴だ。ちょっと前のトランプ政権下でオルタナ右翼が『マトリックス』のイメージにタダ乗りして監督ブチギレ、なんて話も聞いてたので、連中にきちんと中指立てておく必要があったのかもしれない。中指はなんぼでも立てていい。ただねえ、この映画はゴチャついてる割にパンチは弱い。監督も主演の2人も、そして我々も年とったんだ。第1作のキレはどこにもないし全然パッとしない映画だが、少しだけ好もしい、ような気もする。そんな印象でした。