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[コメント] ソウ SAW(2004/米)

才能ある若者がかますハッタリ。おっちゃん気持ちよく頂戴いたします。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 極端な言い方をしてしまうと、この手の映画の真犯人なんてそれまで出てきた誰であったって構やしないんですよ。浮気相手の研修生だって誰だって、後付けで理由さえ持たせれば観てる僕らは「あぁっ!」って言っちゃうんです。むしろそこで大事なのは「観客を上手に騙すこと」なんかではなく、「上手に騙されたと思わせること」。今作はこの点において非常に上手い。

 まるで「真犯人の情報はそこかしこに露出されていたのです」と言わんばかりの情報群とドンデン返し。だけど冷静に考えると、こんなんで犯人なんざ判りゃしないんです。後から思い出すから「判ってたのに!」なんて思うだけ。だって爺さんなんてどう見ても意識不明だったじゃないですか。眉毛一本映しておいて「実はここに犯人の顔の一部が映っていたのです!」なんて騒ぐようなもんなのです。

 ここで監督が上手いのは、僕らに「一本の眉毛が映っていたこと」を忘れさせちゃうことなんです。だからここでショッキングなギミックや大げさな映像なんかが意味を持ってくる。それらのケレン味によって観せられた眉毛を忘れさせ、ラストで「うわ!俺こいつの眉毛見てたよ!何で気付かなかったんだ!」と思わせてしまう。当然そこに至るにはかなり堂々としたハッタリが必要なわけで、そんな若い才能が見せる大きなハッタリっていうのは、やっぱりなかなか気持ちがいいものなのです。

 また同時に、人物や小物に無駄がないっていうのも「よく出来てる」感を高める一要素になっています。実はこれって「不要な人や物を出してない」ってだけの話なんだけど、それが逆にあたかも「与えられた要素を全て使いこなしている」かのような印象を与えてくれるんです。まるで「全てはその結末に辿り着くために用意された物だったのだ!」って言わんばかりなんですけど、冷静に考えてみればそれって当たり前のことなんですよね。

 あ、もちろん脚本はスゴく上手くできてたと思うし、ラストのドンデン返しも好きです。その上でそれをより大きな物に見せるハッタリが上手いなぁと思ったんです。気持ちよく「騙された気」にさせてもらいました。

(評価:★4)

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