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[コメント] 20世紀少年 第2章 最後の希望(2008/日)

俳優を活かす力が著しい。意志をはっきりと眼差しに表すカンナの平愛梨、その陰でコメディエンヌとして物語を引っ張る響子の木南晴夏、いずれも前作からの芸達者なメインを向こうに回して奮闘している。否定すべきサムシングを多数内包しながらも、この力を認めない訳にはいくまいと自分がこの作品を擁護する所以だ。
水那岐

今更のようなことだが、『デビルマン』を本作ほどのキャスティングとそれに伴うモチベーションをもって映画化してくれたら、と思わずにはいられなかった。今作の徹底したアンチ・リアリズム(万博オナニズム世界とでもいうべきもの)を徹底したリアリズムで演出する方法論は、実は40代にとっても気持ちが悪いし、漫画(自分は映画を観終わるまで封印している)にどれだけ馴染んでいるのかは知らないがそのジャンルでこそ活きるものだと感じもする。覆面の男(つまり中身は「誰でもいい」わけだ)が世界的なカリスマになる設定そのものが噴飯モノでもある。だが。

ダシ具合がしつこ過ぎるこの「漫画映画」世界なのだが、俳優たちの力でそこに何ともいえぬ旨みを与えられていることは、認めざるを得ないだろう。それは演出者の本気でもあり、末端たるを自ら熟知している俳優たちの本気でもあるエネルギーの賜物である。これまでも今後も漫画原作映画は量産されてゆくのだろうし、その大部分はおそらくクズだ。この作品シリーズはその中にあって異常なほどに健闘を続けている。それはおよそ「漫画原作」ものなんて…というスタッフの諦念を感じさせずにこの作品が続いている、というところに理由のあるように思わされる。その意志が消えぬままに最後まで走り抜けられるか。そこにゆくまで、自分はこのスタッフに対する「最後の希望」を消さない。それは邦画の今後の動向にかかわることとさえ、今の自分には思われるからだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)junojuna[*] 死ぬまでシネマ[*] Pino☆[*] おーい粗茶[*] sawa:38[*] サイモン64[*]

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