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[コメント] プラダを着た悪魔(2006/米)

シャネルを着たAD。
きわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







おしゃれ満載な映画は大好きだ。イジワルなお姉さんにいけずされながら、成長して「フフン」と見返す展開も好きだ。鬼のような人間がいる世間でこてんぱんにされながらがんばる女の子の話しも好きだ。しかし「良かった!!☆5です!!」とは言えない何か。

まず、肝心の「おしゃれ」の部分があまり自分の好みではなかったからという単純な理由が大きいと思う。主人公(アン・ハサウェイ)の着る服はほとんど黒。トレンドだからか知らないが、あまり目新しさがない。シャネル一辺倒な感じだし。若いんだから、そして天下のファッション紙のクローゼット貸し切り状態なんだから(ちっくしょーこれこそがほんとに夢。夢!!っていうかほんとに実話か??あんなことほんとにできるのか??)もっともっと色んなおしゃれしてほしかった。メイクも、まつげ・まゆげ・口紅もとにかく全部濃い!アン・ハサウェイのくっきりはっきりの顔立ちで余計濃い!しかし、一夜の火遊びの翌朝、見事にすっぴん。パーティ帰りのよその男の部屋であんなこってりメイクがまともに落とせるわけが無い!!寝坊した後のメイクもどーしてそんなにばっちり決まってるんだ!どこにそんな装備があった??(「映画だから」という流し方をするべきところができないのが問題だが)

私が一番言いたいのは、おしゃれはそんなに簡単じゃないだろうということ。「ファッションは単に着飾ることではない。生活に息づくアートだ」と豪語して、それに命を注いでいるという人間を描くのであれば、主人公が仕事に奮闘しながら成長していく姿を、徐々にセンスが良くなっていくという過程としても見せてほしかった。外見を磨くことは自分を磨くこと、中身を磨くことにリンクしていると思うから。だからちょっと専門家に助言をもらったぐらいでイキナリ白鳥になれるほど簡単ではないのだ。

あと主人公の仕事もひどい。NYの一等地のビルで毎日最新ファッションを身にまとっていても、やってることはただのAD。それでも世界的有名雑誌の編集部の「世界中の女の子が羨む」仕事なのだ。ある意味、「仕事ってなんだろう?」と考えさせられた。(しかしタダでマーク・ジェイコブスのバッグがもらえる仕事なんて、たしかに「羨む」よなぁ・・ありえへん)ラストも、コメンテータのづんさんの評されているように、あそこで投げてしまってはエミリー(先輩上司)から奪ったものも投げてしまっていることになる。「悪魔になって極めてしてほしかった」という意見に激しく同感です。

鬼の編集長はみていてすっとするくらい、まさに悪魔だ。(メリル・ストリープのコミカルな演技はさすが)あんなポジションでずっとやってる人なんて、あれくらいの非情さも無茶な要求を通す傲慢さも必要だろうと思う。(要求があまりに個人的で無茶すぎるのは唖然とするけど)しかし「自分達の仕事は世界を左右するんだ!」という考えはどうかな。服の雑誌が本屋から消えたところで人間の生活はそんなに変わらないと思う。自分はおしゃれも好きだし、ファッションが好きだけれど、そこまで傲慢になる考えにはちょっとついていけない。雑誌で「これが旬!」と謳っているものをそのまま追うこともおしゃれではない。どんな人の服装も、自分が気に入っていれば、それがファッションだと思う。人が決めた服装、雑誌に載っている服は単に情報と参考にすぎないと思う。

ここまで熱く語るほどのことではないかもしれないけど、関心のあるテーマだっただけに、共感できるところがなくて、なんとも欲求不満になってしまった。(06/11/24 劇場)

(評価:★3)

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