[コメント] ボーン・アルティメイタム(2007/米)
ジェイソン・ボーン・トリロジーのオリジナリティは評価したい。三作目ともなれば面倒なイントロダクションは省略し、序盤からあの世界に首までどっぷり浸かるノンストップ・アクションサスペンスが展開する。司令塔と現場の緊密なコネクションをボーンの肉体が突破していく中盤まではなかなかに見せてくれる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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グリーングラスの実況映像的手持ちカメラ演出が、携帯電話多用のリモコンミッションをかろうじて嘘臭くなく描いているのだが、これに乗れるのは中盤のタンジール編まで。スタイルズ、アレンの女二人のボーンへのシンパシーは情感を醸し出すまでには至らず、仇役のストラザーンは序盤でアレンにディスアドバンテージを喰らっていて、その上オフィスにも侵入されてしまうという威厳ゼロの頼りなさ。
ロンドン・ウォータールー駅の狙撃者や、タンジールの暗殺者といった、ボーンと同類の工作員はキャラが立っていてよいのだが、権力中枢に踏み込むニューヨーク編からは期待したほどの盛り上がりは見せず。フィールドでのガンファイトは部外の警察官を捨て駒に使うというスペイン編と同じ戦術が繰り返されるものの、カーアクションは車をスケートボードのように動かしていてこれはなかなか迫力があった。
記憶を取り戻すべくボーンが向かう施設の造形もまたつまらない。大都会のビルディングよりも緑に囲まれたトレーニングキャンプのようなロケーションのほうが相応しいと思うんだけどなぁ。これまでずっと追い求めてきたアイデンティティがなんだったのか、簡潔かつ的確に描写するラストであって欲しかった。ついでに言うとエンドクレジットもダサ過ぎ。
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