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[コメント] キック・アス(2010/英=米)

斜に構えたウヒウヒ映画かと思ったら王道の系譜。変化球は見せ玉で直球勝負のクールな正統派。心の底から感動した。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アメコミ原作でありながらハリウッド臭があまりしない。 ほとんど予備知識なく観ていたのだが、早々に「イギリス映画っぽいな」と思い始めていた。 後から、監督はガイ・リッチーの仲間だということを知った。 そう考えると、すごくガイ・リッチーっぽい映画の様にも思えてくる。 まあ、ガイ・リッチーはマドンナと結婚してダメになったけどね。

変化球設定ながらおバカ映画に貶めない。 小ネタは挟むけどパロディーで終わらない。 ある意味、ボンクラ男子が痛みと孤独を知る成長物として正統派の青春ヒーロー映画とも言えるし、復讐物としての王道とも言える。

そして何より、ヒットガールがクールだ。 アクションがカッコイイというのもあるが、キャラクター造形もいい。 先に述べたように、ボンクラ男子がヒーローを目指して初めて痛みや孤独を知るが、本当の悲劇が訪れるのはヒットガールの方である。 しかしこの少女は、既にヒーローへの過程を終え、痛みや孤独に翻弄されることはない。 クールだ。イカしてる。

クリストファー・ノーランの『バットマン』シリーズよりはるかに面白いと思うのだが、『ダークナイト』と本作は、別な意味で「現代的な映画だなあ」と思う。

ダークナイト』は、荒唐無稽な設定にいちいち説明をつける“世知辛い時代”を反映した余裕のない映画だった。 本作は、スーパーヒーローだけではなく、西部劇やギャング映画、あるいは殺し屋映画というこれまで培われたエッセンスを“今風”に凝縮した映画だと思う。 その“今風”の凝縮の仕方が、パロディなら比較的な楽な調理法なのだが、それを避けて王道に回帰した点を大いに評価したい。

私は心の底から楽しんだし感動したよ。 まあ、原作ファンがどう思うか分からないけどね。

(10.12.28 シネセゾン渋谷にて鑑賞)

(評価:★5)

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