[コメント] 心中天網島(1969/日)
前衛的なのは美術と武満徹の音楽だけ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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私は一体何を観て篠田正浩が嫌いになったのか覚えていない。いや、彼の映画を観た記憶すら定かでない。 だが食わず嫌いは良くないと思い、スクリーンで観る機会があったのでシネスケで唯一オレンジ色がついている篠田作品を観た。
センスのかけらもない。
どんなに変わったセットを組もうが黒子が出て来ようが、常識人が“前衛”のマネをしました、という風にしか見えない。役者は常にカメラの中央にやってきて芝居をし、台詞をしゃべる時はきちんとカメラが抜いてやる。
数年後の寺山修司、12年後の『陽炎座』を引き合いに出すのはやっぱり気の毒なのか?なら5年前の『砂の女』は?この歴然としたレベルの違いはどうよ?
何一つ観る者の想像力を超えるものがない。フレームの外にある世界観がない。 松竹ヌーベルヴァーグが聞いて呆れる(これはATGか)冒頭のわざとらしいドキュメンタリー風カメラは何?脚本家とのやりとりは何?人形浄瑠璃は単なる言い訳? 逆に言えば、近松の世界そのものを正面から力強く面白く演出できないから変わったことをやりました・・・ということ?
結果、吉右衛門一人に3点。そして私は篠田嫌いを克服するどころかその理由がはっきり判って満足した。
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