★3 | めまい(1958/米) | ノバクの美貌とサンフランシスコの景観で何となく見せはするが、この因襲話はヒッチお家芸の「マクガフィン」のいいかげんさとは最も対極的位置にあり彼のストーリーテラーとしての弱点を露呈させる。正直、前半はだるく後半は白ける。 | [投票(3)] |
★2 | レッドチェリー(1995/中国) | ナチスの非道と退廃を描いた映画は山ほどあるわけだが、刺激的なエッセンスをおっかなびっくり抽出してトレースしただけのもの。実話であるなら半端な扇情的描写は失礼というものだ。抑制はあるが自立的なものとも思えない。どっちに振れるか覚悟が足りない。 | [投票] |
★4 | バトル・ロワイアル(2000/日) | たけしが子供王様なリアル世界との差異を圧倒的上位から冷笑気味に裁断しつつ、生な中年の侘びを感じさせる辺りの新味と、ガキのサバイバルごっこに結構熱く燃える深作の野暮天な実直が直線でシンクロするのが「格」を感じさせずにおかない
微妙作。 | [投票] |
★4 | ビューティフル・マインド(2001/米) | 終映後に甘いタイトルの逆説的な意味を噛みしめながら思った。この映画を余りに卒の無い演出と2段転調脚本の巧みな優等生振りから救ってるのは作り込んだクロウが発する狂気をとそれを受けて立つコネリーの発する迫真のオーラ。普遍は狂気に転ずる。 | [投票(1)] |
★5 | 紅夢(1991/中国=香港) | 藝謀第1期の色と構図への過剰な拘泥は下手すれば偏狭世界のドツボ閉塞を招きかねないのに、あろうことか1から4へと右往左往する超形式的な配列に準拠する物語に依ってマイナス2乗=超絶プラスへと転化し得わけである。毒をもって毒を制した感がある。 | [投票] |
★3 | リング2(1999/日) | 中田絶頂期であっただけに、超弩級のショッカーは無いが足掻いてもどうしようもない絶望感を漲らせ、菜々子の登場あたりまでは撮影もムードも暗澹たる悲劇性を醸し出して秀逸だった、ただ、終盤がチャチすぎる。形象化されトリックスターは力を失う。 | [投票] |
★4 | シックス・センス(1999/米) | 第六感を持つ少年の遭遇する幽霊の超常現象描写が相当に陳腐な表現に終始するのがどうにも甘いが、全篇を遍く横溢する哀感を帯びた寂寥が夫と妻の二者二様の孤独へと急転直下に連結するラスト。ここまで尾を引く余韻は滅多になく映画の相貌さえも変わるのだ。 | [投票] |
★4 | レナードの朝(1990/米) | 2人の役者の演技は各々の芸風を抑制しつつ四つに組む感があるが相乗効果とまでは言いがたいし、展開も余りに平易なものなのだが、この映画を包む女性監督らしい慈愛に充ちた優しさには素直に打たれる。それは何かを確信してる者だけが為し得る強度なのだ。 | [投票(2)] |
★4 | トラフィック(2000/独=米) | やってそうな連中を集めてのドラッグ・コネクションの川上から川下への3題噺だが、臨界線上でモラリティを堅持し、3原色フィルタ−且つドグマ由来のカメラ使いも嫌らしいまでに闊達。だが、メキシコパートの他の2挿話への絡みの緩さが画竜点晴を欠く。 | [投票] |
★2 | この子の七つのお祝いに(1982/日) | ミディアムなギュウ詰めの構図を正攻法で繋いで役者にはどテンションを要求。相変わらずの増村らしい力感と言いたいが、どこか形骸的で乗れてない。話を映画的に料理するという芸当ができないのだからミスマッチな題材だった。遺作としては余りに残念。 | [投票(2)] |
★3 | カッコーの巣の上で(1975/米) | 後半は一応盛り上がりを見せるが、軽度にせよ精神病院ってこんな普通の連中ばかりか?という疑問。体制へのプロテストも余りに捻りが無い。しかし、今更の知れた題材を名優たちを誂えて真正面から十二分な押し出しで語り名作然とした鈍色の光沢を放っている。 | [投票] |