★3 | 暗殺(1964/日) | 話は抜群に面白いのに、下層の出自から頂点を目指す清河(丹波哲郎)に、ストーリー展開の都合上もうけられた不可解さ以上の不気味さや豪快さ、そして哀れさが漂わない。それはきっと、篠田正浩自身の権力に対する主観が不鮮明だからだ。 | [投票(2)] |
★4 | にっぽんぱらだいす(1964/日) | 何という大らかさ。誰ひとり悪人が出てこない。当然、加害者も被害意識も存在しない。あるのは、男と女の社会史、つまり生活の全肯定だ。「笑い」ではなく、人の生をポジティブにとらえることで生まれる「清々しさ」の量において、本作は喜劇(喜びの劇)である。 | [投票] |
★4 | 下町の太陽(1963/日) | なるほど、道夫(早川保)の訳知り顔の分別臭さと良介(勝呂誉)の素朴で純情なひたむきさを併せると「男はつらいよ」の博(前田吟)。町子(倍賞千恵子)に心配をかけ通しの弟に、後年の車寅次郎がだぶる。すると、やはり町子は、さくらの原型。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 五辧の椿(1964/日) | 本心をひた隠しにして思いを遂げてまわる女の中で、生真面目な狂気とでも呼ぶひたむきさと純真な娘の気丈さが交錯するさまがスリリングでもあり美しくもある。こういう役の岩下志麻は本当に上手いのだが、やはりそれだけでは3時間の長尺はつらい。 | [投票] |