★5 | 天使の恍惚(1972/日) | 同時代のテロリストを、描いたというよりは写し取ったような切迫感が渦巻いている。当事者たちと思いを一つにしていたとしか思えない本気さを持ちながら、思想的暴走の半歩手前で踏みとどまった若松孝二のセンスがこの作品の良心を支えている。 | [投票(1)] |
★3 | 荒野のダッチワイフ(1967/日) | 若松が描く密室性が血や汗といった生身の感覚を有しているのに対して、大和屋竺のそれはどこまでも軽やかで非肉体的である。荒野に端を発しながら、見る見るうちに終わりなき閉鎖回路へと潜り込むシュールでスタイリッシュな死界をめぐる空っぽの旅。 | [投票] |
★4 | すべてが狂ってる(1960/日) | オーソドックスな星川清二脚本の物語の中を、まさに若者たちのパワーそのままに川地民夫を一気に駆け抜けさせて、その守旧性をぶち壊し新たな映画を構築する鈴木清順の力技。軟弱野郎を挑発する禰津良子のクールなキュートさが実に魅力的。 | [投票] |
★3 | 嵐を呼ぶ男(1957/日) | 日本映画の黄金期を象徴する一つのプログラムピクチャーのスタイルがここにある。映画製作を再開した新生日活。裕次郎という肉体と才能。画面のカラーワイド化。様々な要素が呼応し合って、映画そのものが瑞々しい輝きとパワーを放っている。 [review] | [投票] |