★4 | 永遠の僕たち(2011/米) | その重さや暗さがことさら強調された「死」は、ときに形骸化してしまうことを私たちは知っている。少年や少女には荷が重過ぎる全喪失を描きながら何とみずみずしいこと。そこには宗教や感情に拘束されることのない、人が人として存在する素の境地が立ち表れる。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 追憶の森(2015/米) | 同じ死をめぐるファンタジー『永遠の僕たち』のみずみずしさに比べて、いささか類型的に見えるのは前者の「無邪気」に対して、本作は「絶望」が前提だからだろう。ただ加瀬亮がそうだったように、ヴァン・サントの「境界の人」はひたすら迷い人に優しく寄り添う。 | [投票] |
★3 | ドント・ウォーリー(2018/米) | 少数者の苦悩に向けられるG・V・サントの視線は相変わらず優しい。ただ、期待した主人公(J・フェニックス)の「アルコール依存」の「身体障害者」で、周囲には「傲慢」で世間に「辛辣」な風刺家という心身の“複雑”な葛藤はさらりと流され、ちょっと肩すかし。
| [投票(1)] |
★3 | ミルク(2008/米) | 長髪、ひげ面からスーツとネクタイ姿に。ミルクが世の中の道理を悟った瞬間だ。つまりは体制に抗う活動家から、大衆を勧誘する政治家へ。多数を牛耳る者たちとって、巧みな政治センスで憎めぬ微笑を駆使するマイノリティほど、鬱陶しい存在はないだろう。 | [投票] |
★3 | パラノイドパーク(2007/仏=米) | 家族や友人との関係に不安を感じながら「つながる」先やすべを見失う少年は、いつの時代にも、どこの世界にもいるだろう。彼らは、ある出来事をきっかけに糸口を見つけるだろう。ただ、アレックス(ゲイブ・ネヴァンス)の、それはまた別の不安を漂わせる。 [review] | [投票(2)] |
★4 | 誘う女(1995/米) | しばしば、美形と色気は理性を超越し思わぬ暴走を生むが、しょせん影響が及ぶのは二流(地方レストランのドラ息子、ローカル局のお天気ねえさん、落ちこぼれ高校生)どまりという滑稽と哀切。飛翔を夢みた勘違いニワトリの狂騒を戯画的に演じるキッドマンが最高。 | [投票] |
★5 | エレファント(2003/米) | 彼らの肩越しに、向こう側を覗いたところで何かが見えるわけではない。彼らが見ているのと同じ日常があるだけだ。ただ確実なのは、その日常が限りなく不確実だということだけだ。次の瞬間、何かが起きても起きなくても、それが生きているということなのだ。 [review] | [投票(15)] |
★4 | グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997/米) | この天才青年をめぐる他愛のない青春ドラマが私の心を強く引くのは、男たちの友情物語の裏にガス・ヴァン・サント監督が仕掛けた愛情物語のせいだ。男が男を見つめる視線の熱っぽくて艶っぽいこと。 [review] | [投票(1)] |