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[あらすじ] 秋菊の物語(1992/中国=香港)

あたし秋菊(鞏俐)、赤唐辛子作りの農家の嫁で妊婦です。夫が男の大事な所を村長に蹴られて怪我したので文句言いに行ったら、村長のヤツ相手にしないしぃ。郡のお巡りさんの仲裁にも、村長は謝る代わりにお金バラ撒いて受け取れって言うの。受け取れませんよねそんなお金。県の公安に訴えても結果は同じ「金は払うけど謝んねぇ」一点張りの村長。生まれて初めて泊りがけの旅行して都市にも訴えた(お土産買っちゃった♪)けど、金額が増えただけ。納得できないわ。夫はもうやめろと止めたけど裁判しても負け。上訴しました。村長が嫌いなんじゃなくって、お金はいいからとにかく反省して謝ってほしいんです。そしたらあたし、大晦日に…あたし…
Amandla!

注)秋菊はこんなに饒舌ではありません。読み書きもできず、無口でとても口数が少ない木訥な女(ひと)です。

原題: 秋菊打官司(『Qiu Ju da guan si』)

フランス語題名: "Qiu Ju, Une Femme Chinoise"(秋菊、ひとりの中国女)

原作: 陳源斌(チェン・ユアンピン)『萬家訴訟』

 善良で義理堅い秋菊(鞏俐)が、子連れで身重の体でのったりと歩き回り、スジを通せと頑固一徹に訴え続ける姿は、笑いを誘いつつも感動的。ドキュメンタリータッチで村落共同体の家族的雰囲気、中国女性のしたたかさ、農村の美しい風物を捉えた。堂々たる鞏俐の妊婦姿も、妊婦らしく動作はゆっくり。無口で素朴、強情な農家の嫁を好演している。ひょうきんな音楽も笑いを誘う。

 中国行政・司法機関の調停や訴訟のしくみが、庶民にもよくわかるように描けているのも秀逸。うがった見方をすれば、庶民の視点から血の通わない行政・司法制度に対し、ちょっぴりチクリと皮肉って見せたと言えるかもしれない。でも、公布して間もない行政訴訟法の浸透と成功を祈る当局にとっては、文句のつけようがない。

 これまでの張藝謀(チャン・イーモウ)が見せた、観念的でイデオロギー色濃厚な様式美あふれた作品群=『紅いコーリャン』(87)、『菊豆<チュイトウ>』(90)、『紅夢』(91)から一転してスタイルを変え、中国社会に生きる人物像一人ひとりに焦点を当て、現代農村の庶民の生活感覚を活写。近代化路線にともなう個人主義が広がっている状況もよく描けている。そういった観点から観れば、本作は張藝謀によるホットな『中国レポート』ともいえる。

 張藝謀の映像スタイルの変化は驚きをもって迎えられ、さらにそれが絶賛を受けて、92年ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、同主演女優賞を受賞したほか、フランスや米国でも映画賞を受賞することになった。

 『秋菊の物語』公開に併せて、中国国内で上映禁止となっていた『紅夢』(91)は公開された。

 このあと、張藝謀は『あの子を探して』(1999)(『一個群不能少』=『Yi ge dou bu neng shao』=『Not One Less』)でも同様のスタイル路線を継続・発展させ、再び99年ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞。

(評価:★5)

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