完成直後のオリジナル版は14分で、現存する12分程度のプリントでは次のようなラストシーンが欠落しているらしい。

（現存版のラスト）→帰還した乗組員の祝賀式→表彰を受ける→祝賀パレード→記念の像除幕→月面人の展示

＊＊＊おまけ：ジョルジュ・メリエスについて＊＊＊

ジョルジュ・メリエスはフランス人の奇術師だったが、19世紀末にリュミエール兄弟の発明した映画システム「シネマトグラフ」に目をつけ、「これこそが自分の奇術を活かす道だ」と、シネマトグラフの権利を買い取ろうと兄弟のもとを訪ねたが、応対した兄弟の父親に「いい若い者がこんな写真が動くだけの代物にうつつを抜かしていてはいけない、本業に精を出しなさい」と言われて追い返されたという。

それでもどうにか映画の技術をものにしたメリエスは、本作を初めとしてトリック撮影を駆使した数々の映画を製作し、一時期は自作の配給を手がける会社を持ち、支店をアメリカに出すほどの成功を収めていた。

その会社も、国外ロケで撮影したネガが全部ダメになった事故の影響で倒産し、その後の彼はおもちゃやキャンディの売り子をするなど不遇の晩年を送っていたらしい。