★5 | ソドムの市(1975/仏=伊) | 快楽の実行が、憤怒や権力の行使と表裏に一体であることを、鮮明に描いた作品。しかも、力を行使するものたちが「こうして滅んでゆくもの、悲劇を観ることこそ、本当の美なのだ」(うろ覚え)というようなことをいうので、彼れが自分達の欲望の実現がじつはどこかの悲劇のパロディだと知っている。という事態を映画で描いている、という構造になっているのね。人間のエロスは悲しい・・・。 | [投票] |
★5 | 黄金の七人(1965/伊) | ハリウッドが「ルパン三世」の映画化権をモンキーパンチから買った、というニュースを知ったあとで、これを観たのね。で、無知な私は、富士子役は、当時だったらこれに出ているロッサナしかないじゃん!とひとりで興奮したのでした。だって、この映画が「ルパン三世」の元ネタだなんて、知らなかったんだもーん(汗)。 | [投票] |
★5 | 美貌に罪あり(1959/日) | 物語はありきたりだけど、個々のキャラクターが、単純なキャラは1人もいなくて、ひとりひとり叮嚀に作られていて素晴らしい。特に、なにもせずに画面に出てくるだけで、その美しい自己中ぶりで観るものを捕らえてはなさない若尾文子と、勝新太郎の緻密な演技を味わうだけでも、十分に価値がある気がしたな。 | [投票] |
★5 | アンダー・ザ・スキン(1997/英) | これは、こんな母親と女の子がいます、というストーリーを伝える映画ではなくて、こういう状況になった女の子は、どのように振る舞うのか、を見せる映画だとおもった。だからサマンサ・モートンの天才的な演技と、極めて映画的なすばらしい時間をたっぷり体験できた。痛くて美しい。 | [投票] |
★5 | カンゾー先生(1998/日) | 勉強不足なわたしは、安吾の堕落論を遅ればせながら読んだ直後にまたまたこの映画を観たので。人間のダメさ加減を強さととらえようとした安吾のリアルで残酷な優しさを脚本も監督もよく体得しているように感じました。よごれるだけよごれたら、そこから這い上がるしかないんだしってね。 | [投票] |
★5 | 暗い日曜日(1999/独=ハンガリー) | ブタペストってなんか魔力をもっている街なんだろうなー。ナチも、恋愛沙汰も、その街の悪魔が人間を翻弄しているのでは、と思いたくなるような、そういう風景カットが、いくつかインサートされていた。半世紀ちかい時間と、東欧の美しい街と、正直で美しい女と、音楽。毒薬のような素晴らしい作品でした。 | [投票] |
★5 | 探偵スルース(1972/英) | 物語も、映像も、演技も、演出も・・・って書くのが阿呆らしくなるぐらい、どこからみてもこれは面白い。というか、面白いってことは、こういう事をいうんですよ、って言われたようでした。最小限の人物とセットで、最大のエンタテイメントとも言えるかな。ちょっとキューブリックの『現金に身体を張れ』を思い出したけど。 | [投票] |
★5 | リトル・チュン(1999/香港=日) | 子供、おばあちゃん、チンピラ、老人たち等々の顔がいい。仕草がいい。それも増して香港の街が「芸」をしている。とくに裏路地(女の子が住む鋭角の角)にドラマが生まれる瞬間があって、フルーツ・チャンは天才だ、感じました。あと、少年が叱られながら歌って、でも身体は自然に自分を主張するシーンも胸に迫るものがあったし。感服です。 | [投票] |
★5 | 愛と追憶の日々(1983/米) | このシャーリー・マクレーンは、私にとって『壊れゆく女』のジーナ・ローランズ、『愛を乞うひと』の原田美枝子と並んで、3大愛情障害母親のひとりになりました。こうして演じたことで、何人の母親が救われたことか!なんか『アパートの鍵貸します』のマクレーンが歳とるとこうなりそうって感じ。 | [投票] |
★5 | 誘惑のアフロディーテ(1995/米) | ウディ・アレンは、見ないで嫌いだ、と言ってたのですが、このごろややハマってます(笑)。「養子なんて絶対だめだ!」のつぎのシーンがふたりで養子を可愛がってる、というテンポは正解。ストーリー自身をあざけるようなギリシャ劇も笑えるし。しかし、ミラ・ソルビーノ、いいなー。大学では中国文化専攻だって? | [投票] |
★5 | レイン(2000/タイ) | 月影のデート、筆談の出会い、一度主観から見せる逃亡、水の工場、ストロボシンクの雨粒・・。映画お決まりのシーンに、ひとつひとつパン兄弟は、自分たちの答えを呈示してゆく。それにすべてのキャラの顔がいい。世界中の映画と繋がっているのに、そのどれとも本質的に似ていない。パン兄弟の体臭だ。 | [投票] |
★5 | フル・モンティ(1997/英) | よく、ふと感じるある感情。名前はついていないけど、日々のかなでよく起こるこの感情は、ふ、っと微かなこともあるし、心全部がその感情に支配されることもある。この映画全体は、その感情の象徴になってる!。あー、しかし、これいじょううまく言えないよー。意味不明のコメントだな、こりゃ(汗)。 | [投票] |
★5 | サムバディ・トゥ・ラブ(1994/米) | まるで汗と化粧の臭いがしそうな不条理な映画への情熱って、やっぱりあの巨匠へのオマージュなんだよね?きっと。最後にフェデリコ&ジュリエッタに捧ぐ、って出てくるし。人物やLAの街の存在感が張りボテの映画セットみたいなのも、哀しくていい。とくに、最後の明るくにぎやかな哀愁がたまらん。しかし、あまりに美しくて、ブシェミとは途中まで気づかなかったぞー。 | [投票] |
★5 | セリ・ノワール(1979/仏) | 狡猾とバカ、自信過剰と自己嫌悪、上品と下劣、優しさと冷酷、喜劇と悲劇、愛情と憎しみ、幸福と不幸、などなどなど。が、こんなに見事に解け合ってひとつになってる映画が存在するなんて!これは何かに似ているぞ、と思ったら人生だった(苦笑)。幻にして切実な刹那が、さわれるほどリアルにここにある。でも・・ [review] | [投票] |
★5 | ドンファン(1995/米) | 乱暴にいえば、ストーリーなんてどうでもいいんです。『乱暴者』とか『欲望という名の電車』とかのM・ブランドって、いまのJ・デップでしょ(もっとすごいか)?でも、同じように世界の不良と女の子たちにインパクトを与えた希有の存在のふたつの年齢が、ひとつのフィルムのなかに居る。それだけで5点だもんね。 | [投票] |
★5 | セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997/米) | なかなか着かない前半が、チベットの遠さと西洋と東洋の差を、映画的に表していて、すごくよかった。簡単に外部を受け入れない不寛容な宗教的態度と、頭で判っていても自分は変わろうとしない西洋人、という設定も、すごくいい。これはブラピの鈍感さが、とてもよく機能してたと思う。さらにラマ役少年に1点。 | [投票] |
★5 | セレブリティ(1998/米) | 自分のパロディを自分の作品で演出するユーモアに脱帽。これ『アニーホール』のバリエーションにちがいない(TVプロデューサーに女を盗られるし)。シェークスピア俳優のケネス・ブラナーのアレンには笑いぱなしでした。撮影現場も笑いでNGが続出だったのでは?しかし、今でいうAC男ですな、アレンは。 | [投票] |
★5 | ジプシーのとき(1989/ユーゴスラビア) | エミールのHP見たら、この人、バンドもやってるのね。だからあの哀愁と混沌が絶妙に混ざったパンク・ポルカみたいな音楽もコントロールできるんだ、と思った。やっぱ、人生を言葉や観念ではなく、身体で現実として受け止めるタフさと猥雑さと純粋さを、見るたびにエミールから教わってしまう。 | [投票] |
★5 | カオス・シチリア物語(1984/伊) | もっとも好きな映画の一つなのに、書くのを忘れてた。カラスが運んでゆく物語たち。すべてのエピソードが、懐かしく、かつ新鮮。理性とか合理主義ではとらえられない「生」が、人間の奥に、でも日々の中にある、って感じ。カメラ、音、役者、構図すべてが素晴らしい。旅行みたいな感じで、もう5回は観た。 | [投票] |
★5 | プリーチング(1997/英) | 愛と自由についての美しい作品。愛とか誠実とかの心の奥を探ってゆくと、我欲や支配欲、自己愛、それに滅私願望や自己実現、他者から認められたい願望などなど、真っ逆様な要素が複雑に絡み合っている。それを、こんなに正直に、かつ滑稽に見せてくれるなんて。『キラーコンドーム』以来の感動。 | [投票] |