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★5羅生門(1950/日)廃墟に降り注ぐ終末的豪雨。刃のように網膜に閃く太陽。暗い森に翻る女の衣の白さ。終戦五年目のエゴと獣性剥き出しの世相が平安期に転生する。日本最高のシュールレアリスム映画。[投票(2)]
★5驟雨(1956/日)まだ郊外だった頃の世田谷。夕暮れには帰路について、妻と肩を並べて歩く勤め人達。通り雨の後、土の香りが漂う泥濘道。今は失われた世界の美しさを惜しまずにはいられない。[投票(2)]
★5浮草(1959/日)旅回り一座のゆるーい雰囲気。そこで展開される人間模様。好色と嫉妬、狡猾と悲哀、純情と媚態。赤と緑を効果的に配した色彩設計…すべてが響き合って絶妙。まるで音楽のようだ。[投票(2)]
★5山の音(1954/日)まったく興奮しない語り口で非情なドラマが語られる。事実のごく一部しか描かれないことが、この映画に氷のような美しさを与えている。が、水面下では激しい葛藤が渦巻いている― [review][投票(2)]
★5幕末太陽傳(1957/日)冒頭、現在(昭和32年)の品川のシケた景色が映し出され、すべては茶番に終わることが暗示される。そして繰り広げられる馬鹿騒ぎ…。終幕を迎えた「江戸」への惜別の宴― [review][投票(2)]
★5甘い生活(1960/伊=仏)大衆はメディアの扇動に踊り、上流階級は退廃に沈む。そしてマルチェッロはとどかない夢にただ苛立つ。神なき繁栄。茶番の日々。バブル時代、私は学生でしたがまさにこんな感じでした。[投票(2)]
★5動くな、死ね、甦れ!(1989/露)荒々しい抒情に満ちたピカレスク・ロマン。しかし春、播かれた悪の種は意外に大きく育って自らの守護天使を殺す。余りに早い罪の始まり。その残酷!悲歌!痛みなしには観られない。[投票(1)]
★5キートンの恋愛三代記(1923/米)役に立たない最強恋愛ガイド。犬橇操縦法・ライオンと仲良くなる秘訣・試合で味方が大怪我しても自分はぴんぴんしている技…等々。人生に必要なことはすべてキートンから学んだ![投票(1)]
★5M(1931/独)精神病質者の徘徊する恐怖、集団心理に憑かれた群衆に狩られる恐怖、自分の背中に疎外者の刻印を発見してしまう実存的恐怖…。ソリッドな語り口が戦慄を呼ぶ「恐怖」交響曲![投票(1)]
★5小早川家の秋(1961/日)上方で撮る小津は普段よりずっと艶めかしい。いや、あの緑の川面、西日に輝く簾の怪奇な色彩は…ここはもう彼岸なのか?あっちの家とこっちの家、あの世とこの世でかくれんぼ![投票(1)]
★5メトロポリス(1927/独)ラングの描く人間は理性を持たない純粋のエネルギー体だ。その必然として都市は内から爆発するのだ。煌めくアナキズム!悪夢のゴシック機械様式!その時、暗黒神は降臨する![投票(1)]
★5おかあさん(1952/日)ヒヤリと冷たい翳はあっても、太陽の匂いははち切れんばかり。田中絹代や香川京子の何がいいのかと思っていた私は馬鹿だった。彼女達の明るさ、それはもうほとんど奇跡に近い。[投票(1)]
★5赤西蠣太(1936/日)クラシックをモダニズムで再構築するならこうやれ!とぼけたエスプリ。時代劇的大仰を処理する機知。時に前衛。格好いいものを作るのに凄む必要などないことを伊丹は知っている。[投票(1)]
★5鉄路の白薔薇(1922/仏)機械文明は私達を不幸にする。でも私は機械を愛する。愛さずにはいられない。―20世紀のための鋼鉄製メロドラマ。そこでは愛と妄執と破壊衝動が分かち難く結び付いている。 [review][投票(1)]
★5プレイタイム(1967/仏)ガラスを多用したカフカ的建築様式。啓示の如きTVの燐光。そして深夜のレストランは混沌へと疾走する…。極北に達したスーパーフラットな表現に20世紀後半の美と悪夢は降臨する![投票(1)]
★5徳川セックス禁止令 色情大名(1972/日)馬鹿の花の満開の下にはアナーキズムという名の屍が埋まっている。性の中に死があり、死の中に生がある。権力と信仰・日本と西洋・男と女…絡み合い、入れ違う。けしからぬ映画![投票(1)]
★5ハワイ・マレー沖海戦(1942/日)日本映画における叙事詩の最高峰。存在を賭した戦いの渦中にいた人々の血のどよめきが伝わってくる。愚かさも含めて、虚飾のない姿に震撼した。白がこんなに美しい映画は他にない。[投票(1)]
★5サスペリア(1977/伊)無意味なカットを秘密の法則に従って組み合わせ、何一つはっきりとは語らず、それでいて何かが隠されていることをほのめかす。中身よりもバロック的に歪んだ語り口にすべてがある。[投票(1)]
★5赤い靴(1948/英)Victoriaは勝利の名前。しかし芸術はそれ以上を要求する。愛も幸福も踏み躙り、めくるめく忘我へ、深淵へと赤い靴は誘う。濡れ場は全く無い。なのに激しく官能的。クスリをやったよう。[投票(1)]
★5青空娘(1957/日)フィルムの色の驚異的な彩度。東京駅に入って来る列車の高揚。滅茶苦茶に明るいが、その底には古い衣を振り捨ててゆく一抹の悲哀が漂い、それがこの映画に気品を与えている。[投票(1)]