★4 | チェルシーホテル(2001/米) | イーサン・ホークは文字の人で、同時に生理で生きる人なのね。でも日本から見ていても「あの頃」は、ああいう感じだったので、あのホテルの空間に漂ってることがテーマなんだよね。見ていて、すごい猥雑な快感があって、よかった。あのホテルは、中には入らなかったけど、外から眺めても、エゴと俗と芸術の住処、って臭いがしたもんね。イーサンの嗅覚は的確だと思う。 | [投票] |
★4 | シカゴ(2002/米) | フォッシーの作品って「俗」「すれた」「あこぎ」という意味でのSophisticationそのものだと思う。だから好きなんだけど、でも映画になった『シカゴ』がチョー魅力的なのは、その抵抗できないぐらい魅力的な「悪」を、R・ゼルウィガーにやらせたどこじゃないかな。舞台では不可能な表情のアップの多用と、危なっかしいレニーのダンスが、「目の前にこんな女がいたら、分かっていても騙されるかも」と思わせてAll that jazzだぜ。 | [投票] |
★4 | 唇によだれ(1960/仏) | ファムファタルを求めながら、でももし出会ったら彼女を支える自信が自分はないので、出会う前から投げやりになっている男。でも、そんな情けない自分を癒してくれる女でいいや、と思いながらも、自分を乱すおんなに翻弄されたい男の話し。設定としては、かなり好きかも。 | [投票] |
★4 | 天空の城ラピュタ(1986/日) | 物語はいつもの「神話的自然+貴種漂流話+少女のイニシエーション」なのだけど、人物を除くキャラクター(とくのロボット)や造型、建築、そしてラピュタの巨大樹木との合体が、冴えている。音響も、飛び抜けて素晴らしい。たぶん個々のエピソードだけ観ても、十分に楽しめる。ただ個人的には、男の子に女性をつかうアニメ声の声優がダメです。それと、なんで疑似ヨーロッパなの? | [投票] |
★4 | 裸のマハ(1999/スペイン=仏) | さすがビガス・ルナは彫刻家だけあって、スペインとフランスの調度やセンスを圧倒的な美しさとリアリティで描き、それに対するスペイン側のコンプレックスまで匂わせていて大胆かつ繊細。激しい肉欲と権力欲あるいは芸術欲に翻弄される男と女たちが、ここでも主役。ビガスは「衝突」とか「摩擦」「軋轢」を人間の大事な絆として肯定する数少ない作家だと思う。 | [投票] |
★4 | 蝶の舌(1999/スペイン) | 自然は多様性なのに、人間はどうして統制されたり画一化しちゃうの?っていうものすおく根源的でシンプルな疑問が、すばらしい寓話になってますねー。って、ちょっと啓蒙的すぎる?うーん、でも自信をもって自分の意見をいう映画あってもいいんじゃないかな?グレゴリオ先生みたいに。あ、でも糾弾されちゃうかな・・・。 | [投票] |
★4 | キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002/米) | 昔『学園は大騒ぎ』っているアメリカの学園ラブコメを日本でもやってたけど、そのころのTVコメディの素早い進行へのオマージュかな、とおもった。あのころのガジェットぽいシンボルがたくさん出てきて楽しいし。こんなに役にはまったデカプリオも始めてみたし。そして何よりもクリストファー・ウォーケンの父親役は最高でした。あいかわらずJ・ウイリアムスの音楽は大袈裟で品がないけど(でもTVコメディだからいいか)。 | [投票] |
★4 | 夜の女たち(1948/日) | 終わりのほうで、物語の意図が、台詞として説明されるので、そこの部分はなんだかなー、と思うけど、でも、個々の演技が、予定調和をちょっとだけ突き抜けている感じして、なんか観た後にその時代のホコリを吸ったりかぶったりした感じが残った。役者と撮影と美術がよかったのかも、と思いました。 | [投票] |
★4 | ブルー・イン・ザ・フェイス(1995/日=米) | 誰でも欠点はあるし人格はあいまいだけどなんとか生きてるのさ、ということを鮮明に描いてあって、すごい愛おしい映画です。いや、こう言い換えてもいいかな。誰の人生も完璧じゃないし一歩先は見えないけどそれでも明日はくるのさ、ということを正面から描いた映画なのね。なんども見ちゃいそうだ。 | [投票] |
★4 | キングピン ストライクへの道(1996/米) | スケベで純情なダメ男。狡猾でわがままなヤな奴。色っぽくて自己中なお姉ちゃん。などなど、一見、典型的なキャラというか常套句のようなお決まりばかりのディティールで出来ているのに、物語り全体は、可笑しくて悲しくて非凡なのね。だからきっと、ああ俺の凡庸な日常生活にも、きっと非凡な希望があるにちがいねえ、と勇気がでてくるのかも。 | [投票] |
★4 | 女と男のいる舗道(1962/仏) | 倦怠と無邪気さ、官能と冷淡さなどが、ひとつの身体や表情に共存している女を眺めることの喜びと後ろめたさと神聖さと傷つく感じを楽しむ映画。その感情を逆撫でするように、煽情するように聞こえる、的確なタイミングの状況音として入るチグハグな音楽。耳と目と、脳みそは、それぞれべつべつの器官だった、って気がつかせてくれる映画でした。 | [投票] |
★4 | カンパニー・マン(2002/米) | 新手のスパイ・アクション物。っていうか、スパイ物と恋愛物とミステリとサイエンスフィクションをミックスしたら、それぞれがつぶつぶのまま、残っちゃって溶け合わなかったって感じ。でも、それがなんか新鮮な食感で、けっこう美味しいじゃん、なのでした。ルーシー・リューの確かな演技力もしっかり堪能できます。 | [投票] |
★4 | ハードエイト(1996/米) | PTAが興味あるのは、偶然と必然の間に挟まった人間。人生には何が起こるかわからないけどそれでも生きなくてはいけないこと。男にとって父親とは憎むべき自己愛の象徴。女は自らの快楽のために男の自由を奪う生きもの。人間は欲望に捕われて自由にいきることができない。などなど。『ブギーナイツ』も『マグノリア』もこれからのテーマを追求しているけど、これは彼PTAの原点みたいな作品。 | [投票] |
★4 | 神経衰弱ぎりぎりの女たち(1988/スペイン) | 極限の苦しみや悲しみを歌うのが普通のフラメンコの歌詞だとすると、ポップスや映画で描かれる世界は、スペインのひとびとの日常感覚に近いのかも。この映画の荒唐無稽にさえ思える不幸やトラブルの連続も、だって人生なんてそんなもんじゃない。という気分が下地ある気がする。軋轢にタフな快楽主義者たち。うらやましー! | [投票] |
★4 | インソムニア(2002/米) | 白夜の光が、もう1人の主役じゃないか、と思った。さり気なくて目立っていないから、それは成功しているんだと思うんだけど・・・。体験したことないけど、白夜の白っぽい冷たい光が、思考を邪魔し睡眠を遮るようにいらいらさせている。そのが観ているものにも伝わってくる。それは、過去の出来事に捕われて安らぎを失った男の心のなかそのものなんだよね。それから逃げる方法は・・・。 | [投票] |
★4 | 少林サッカー(2001/香港) | 極めて映画的で映像的な、すてきなアイディアに溢れた逸品。とくにあの荒唐無稽なストーリーにあんなラブストーリーをぶち込むなんて、くらくらしちゃう。できることはぜんぶやろう、という素晴らしく偏執狂的な姿勢と、生理的作劇的映画的にぎりぎりのタッチは貴重です。反省せずにばく進すれば、ファレリー兄弟と東西の双へきになれるかも。 | [投票] |
★4 | ハイヒール(1991/仏=スペイン) | フラメンコの旋律は長調と短調の区別がないように、アルモドバルの描きかたには、理性と感性、道徳と不倫、男と女(というジェンダー)とかの区別がないような気がする。彼にとって、フィルムの中の動きとか色彩とか表情の連なりを作ることが、ものごとを考えるということなんじゃないかな。映画を撮るという行為がすごく日常と近いのかも。 | [投票] |
★4 | たそがれ清兵衛(2002/日) | 面白かった。さすがに脚本がしっかりしてるし。室内だけの殺陣ってのも冴えてるし。岸恵子の使い方もずるいほどだし。でもなんか、テレビドラマっぽいのはなぜ?映画を観てる、っていく感じがしなかったのね私には。あまりに露骨にサラリーマン社会を明示(暗示じゃなくて)しているからか?人物に闇がないからか?わからない・・。 | [投票] |
★4 | メイド・イン・ホンコン(1997/香港) | フルーツ・チャンの中では、いちばん通俗的な物語りかな、っていうか、いかにも香港映画、ッて感じ。それでもフルーツらしさ、っていか、監督の体臭っていうか、
スタイルが明確になって、好きなので、4点!よくまあ、あんなに狭い香港でこうもいいロケ場所があるもんだなー、とその目の良さに感心しちゃう。 | [投票] |
★4 | 真夜中の虹(1988/フィンランド) | なんでこの道行きに、俺は感動するんだろう、って思いながら観てた。なんか、ふだん頭や心を縛り付けてる「こうしなきゃ」とら「ああでなくちゃ」が、すぽすぽと外れていくからなー。映画のつくりそのものも、常套的な方法を外してぬけぬけと固まった感受性をほぐしてくれる。なんかにてるなー、と思ったら、実人生だった(笑)。 | [投票] |