| ★4 | 秘密への招待状(2020/米) | ジュリアンの攻めに防戦一方のミシェルだが、その忸怩たる思いに耐え忍ぶ風情が良く、見る者にも理解不能な状況の苛立ちを緩和する。特に2度にわたるヒール脱ぎ捨て階段遁走が女性心理の綾を衝いて素晴らしい。インドでの描写が刹那感を倍化させる。 | [投票] |
| ★5 | パリ13区(2021/仏) | 伝統的くっついて離れて又くっついての世事ごとと、スポイルされた者の居場所探しが巧妙にリミックスされる。人は色々あっても必ず受け入れられるという確信。古い街は先端施設で上塗りされ移民の末裔は国家の色を塗り替える。優れて文化・都市論的でもある。 | [投票] |
| ★2 | 真夜中乙女戦争(2022/日) | 学内ヒエラルキーから弾き出されてテロルに加担しかけるのだが、細部のリアリティの無さに呆れてドン引きとなる。しかも結局逃げてしまうし何やねんと思う。泥水を飲んだことなく脳内構築された世界。二宮の画面造形が随所で魅せるだけに尚腹立たしい。 | [投票] |
| ★2 | デュエル(1975/仏) | ファムファタール登壇めいたノワールな導入は長回しと的確なフレームワークが決まり大層に魅力的だが、あとはグダグダ。だいたいにこの茶番めいた設定から何を押し出したかったのか皆目解らん。アホに振り切れずマジな心情の迸りもない。付き合い切れない。 | [投票] |
| ★3 | 白い牛のバラッド(2020/イラン=仏) | 原理主義的ムスリムの善悪観が西洋的なそれのフィルターを通さないで提示される。ことの真相がわかってからの短兵急な展開に今一つの逡巡や葛藤があればと思うのはイスラムへの驕りであろうか。悪い奴はいないのだ。全ては司法システムの問題。そこはわかる。 | [投票] |
| ★4 | 死刑にいたる病(2022/日) | 『羊たちの沈黙』底浅バージョンめいてるが揺るがない徹底悪な本質が露呈する様は骨太だと言える。居場所のない男が存在証明を希求する展開も筋が通り腑に落ちる。演出白石と演者阿部の再タッグは実力者同士のがっぷり四つの趣きがあり力相撲を堪能。 | [投票] |
| ★3 | 果てなき船路(1940/米) | 先行きないドン詰まりの船路に女達の乗船・爆弾の荷積・スパイ疑惑と彼是起こるが成行は断ち切られ閉塞感は弥増すだけ。ベルイマンかと見紛う救いのなさ。陸に上がってやれやれも束の間ボッタクリバーで身包み剥がれる顛末はミッチェルの奈落へ連結。 | [投票] |
| ★4 | アネット(2021/仏=独=ベルギー=日) | 嫉妬と保身で愛と信頼を裏切り魔界冥府へ堕ちいく男の物語は増村並の灰汁の強さと押しがほしい。善性は人形に封殺され『モスラ』小美人の如く消費される。この混沌は大林のよう。全てが終わりアネットの人間界への帰還と寓話の終焉。その余韻の詩情。 | [投票] |
| ★3 | レイジング・ファイア(2021/香港) | 恨を纏ったチームが強奪と殺戮を繰り返すのだが恨みの形成過程に今いち納得性がなく心を寄せ切れない。爆発・銃撃・格闘・カーチェイスなどが展開の流れに沿って直線的に配置され澱みがないのだが、佳境は前半にある麻薬組織の頭目とドニーのタイマンか。 | [投票] |
| ★4 | 孤独の報酬(1963/英) | 一応は成り上がりの成功者の話だが、労働階級の見通しの立たない恋愛を描いて、それが英階級社会の閉塞と相俟ってとことん救われない。レストランと結婚式のシークェンスは気持ちがすれ違う痛々しさをレイチェル・ロバーツが絶妙に体現して心に沁みる。 | [投票] |
| ★3 | カオス・ウォーキング(2021/米=カナダ) | 心の中がバレバレになる世界やと疑心暗鬼とかないし皆んな50歩100歩のアホタレだとわかり案外平和かもとの深淵な考察はなく可愛子ちゃんの隣でキス妄想でアタフタレベル。しかも思考は煙のようなビジュアル付き。男女の善悪論に収斂する展開も胡散臭い。 | [投票] |
| ★3 | 死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021/米) | 変異の発現が竜頭蛇尾であり、であるならウォーレン夫妻の描写に一層踏み込みむか、裁判を精緻に描いてほしかった。そういうスピンオフ的なアプローチができそうな題材と思うから。憑依に誘導される断崖での瞬時の視線の交錯。こういうのをもっと見たかった。 | [投票] |
| ★4 | 欲望のあいまいな対象(1977/仏=スペイン) | モノにできると思っても寸止め喰らわされる繰り返しの単線構造艶笑譚だがブニュエルのシュール意匠が薬味のように随所で差し挟まれ味を引き立てる。加えて列車コンパートメント内での叙述形式がもたらす文学的な趣。韜晦趣味のかけらもない自己実現と終。 | [投票] |
| ★4 | フレンチ・ディスパッチ(2021/米) | 半眼開きの爬虫類デル・トロとセイドゥが静止画のように画面を制圧する様が圧倒的で、この第1話のみで評価する。休刊する雑誌の記達への想いはアンダーソンには皆無で挿話の諧謔味こそが全て。その割には2・3話はお手盛りで弾けてくれない。 | [投票] |
| ★3 | パーム・スプリングス(2020/米) | 男の来し方が明らかになるにつれコメディベースの展開から途方もない時間軸の閉塞が浮かび上がり笑ってる場合じゃないとなってほしいがそうでもない。マジ配分の匙加減が今いち。男は惰性に安息を見出し女はそれを我慢できない。それは世の理かもしれない。 | [投票] |
| ★3 | 怒りの日(1943/デンマーク) | 姑の執拗なな嫁いびりや教会の恣意的な魔女裁定など解り易いテーマが描かれるが、そのことによって何か深淵な心理が暴かれるわけでもない。抑圧による怒りが潜在能力を解放する『キャリー』あたりと同根の物語に見える。火刑の即物的な禍々しさは比類がない。 | [投票] |
| ★3 | マジック&ロス(2010/韓国=日=マレーシア=香港=中国=仏) | 廃リゾートの安宿の寄る方ないバカンスは2人の女子の言語不通もあり生気を蝕んでいく。模造品で彩られた世界に期待されたマジックはなく何かを失い続けるだけ。ベルボーイに誘われ飲みに出かける顛末は『息もできない』の2人と重なり虚しさを倍加させる。 | [投票] |
| ★2 | モスラ(1961/日) | 羽ばたきの衝撃波で崩壊する昭和30年代の家屋群の瓦屋根の隙間から火災の猛煙が噴き上がる。そのディテールの細緻さに感銘した。だが所詮は昆虫界最弱と思われる鱗翅目のドデカ版たるモスラは怖くなく小美人の言うこときく良い子ちゃん。主役の柄じゃない。 | [投票] |
| ★3 | マクベス(2021/米) | 簡略化されたセットの鋭角美の中で繰り広げられる古典劇だがナウな訴求性があったかは疑問。何より浅薄な思慮で魔道に堕ちるにしてはデンゼルは人格者めき、奸計を巡らし夫を誑かす毒婦マクドーマンドに妖艶さの欠片もない。魔女の凶々しさのみ絶品。 | [投票] |
| ★4 | 虹に向かって(1977/日) | 木製人形の瓜実顔の余りにプレーンなフォルムと民芸フォーク調の余りにベタな劇伴が今更の和製ロミジュリ物語を反転させ類い稀な強固な世界を現出させる。上塗りされた2重3重のベタが形成する岡本忠成の到達点。架橋作業のテクニカルな造形も見せ場。 | [投票] |