[コメント] バットマン ビギンズ(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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トラウマを持つ少年はそのまま大人になり、ソレを乗り越える為に修業(?)に出る。 両親の敵討ちをしようと思ったらし損ねるし、ソレをばらしちゃったら好いた女から「そんな恥知らずな事!」とビンタ込みで怒られるし、いつまでも「世間知らずのおぼっちゃん」ではいられない。青年は荒野を目指し、犯罪にも手を染めるし山にも登っちゃう。
そして自分が戦うべき敵を見つけた時にぼっちゃんは初めて大人になり、自分の運命と対峙する。 自己満足でなく自己実現でなく。 平和の為に、誰も殺さない為に戦う。 その仮面の下にはやはり未だに傷つきやすいぼっちゃんの顔を隠しながら。
かつては自分の恐怖の対象であったコウモリも、いつしか自分を包み、自分に従うものとしてその影をまといむしろ安らぎを感じるようにまでなる。
やっと恋心を打ち明けた時、好いた女からは「その素顔は仮面で、その下には戦う男の顔が隠れている」と言われちゃう。 「平和の為に戦うなら、今は私たちが愛を交わす時ではない」とまで言われて思わず見ているオバチャン(ワシ)が泣いちゃう。
「じゃあなんで、そんなノーブラビーチクポチンが見える白いシルクのブラウスなんか着て来るんだよーー!」<理不尽?(^^; しかし、スーパーヒーローが成就しない恋に苦しむのは世の常であるので(?)「やはり、結ばれないほうがいいのよ!」と納得。
とにかくクリスチャン・ベールの演技が素晴らしい。 ぼっちゃん時代の童貞演技も素晴らしいが(この手の彼の演技の素晴らしさは「ベルベット・ゴールドマイン」で証明ズミ)、トラウマを抱えながら、その内なる子供を隠し続け、それでもなお大人の男であろうともがく主人公を見事に演じ切った。
「これなら続編も楽しみだー!」(力説)
妙に話しにリアリティと整合性や時代性までをも持たせ、このバットマンというスーパーヒーロー物語を「ぼっちゃん成長物語」あるいは「トラウマを持った男の人間ドラマ」として提示して見せたこの監督と脚本には大いに感心した。
それと画面の美しい事。 アメコミのカラーページの見開きコマを開いてあまりの美しさ、カッコ良さに「ほー」と溜め息をつく瞬間。その感覚を正確に再現して見せてくれている。 洞窟の中のコウモリを従えたブルース。 夜の闇の中、ビルの屋上に佇むバットマン。 非常にフォトジェニックでいてしかも叙情性の漂う良い絵柄が随所に盛り込まれているのもポイント高し。 眼福&ゴージャスな気分で最後まで愉しんだ。
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