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[コメント] 男たちの大和 YAMATO(2005/日)

これぞ愚劣!これぞあざとさの権化!泣かせのシーンと啓蒙と殺戮シーンだけでまるまる映画一本撮りあげた佐藤純彌監督、早くも日本ラジー賞間違いなし!…っていうか、60年経っても「世界の三馬鹿」のひとつを批判しきれないアナクロさには、一生日本が敗北した訳は判るまいと言いたくなる。乗組員の方々の鎮魂のためにも、1点。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







さあみんなで叫ぼう!『ウパ〜!!』…とか言い出す前に、ならこんな映画観るな、と言われそうですが、母親孝行のつもりで連れていった野郎の気持ちにもなってください。

だいたいこの映画は、万里の長城、ピラミッドと並んで建造当時から笑いものにされていた大艦巨砲主義の遺物、「戦艦大和」の映画なんでしょ?その中での喜怒哀楽の日々を描き続け、そして過酷な戦場へとシフトさせるのが映画のテクニックってもんじゃないのか?それを新入り水兵が入隊してほんの1、2のエピソードをはさんだだけで、いきなり死と隣り合わせの海戦に突入させるものだから引いてしまう。しかもこの監督、流血シーンが大好き。日本の『プライベート・ライアン』を狙ったのなら品が無さ過ぎだし、第一その前にキャラクターを持った乗組員が少なすぎる。面白いのは札付き下士官の中村獅童くらいで、彼がいなかったら最後まで観続ける気力も失せたろう。

帰郷話も昔から邦画でさんざ観た泣かせばかりで、そのあざとさも酷い。里帰りした主人公を迎える蒼井優なんか、「お兄さんに負けずに私も広島の工場で頑張るわ」なんて思い切りのいいネタバレワードを吐いてしまう。これで被爆しなかったらサギだってくらいの。

でももしかしたら、事実が負けず劣らずバカだったからしょうがないのかも知れない。最後の命令が「大和はアメリカの輸送艦を駆逐して沖縄に上陸し、陸の要塞になれ」なんだから。死んでいった多くの乗組員には申し訳ないけれど、思わず吹いてしまうのをとどめ得なかった。こんな上官を持てば、「俺たちは日本のあやまちを正すための犠牲として死ぬのだ」という将校の言い訳にも現実味が増してくる。

でも、最大のギャグは、天下の朝日新聞がこの映画を後援してるってことだ。これには「明日香丸」の名付け親、明日香宮の宮司を務めた角川春樹もひっくり返って喜んだことだろうな…。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (12 人)新町 華終 お珠虫[*] Santa Monica ちわわ[*] これで最後[*] SUM[*] prick[*] 大魔人 ピロちゃんきゅ〜[*] sawa:38[*] torinoshield[*] らーふる当番[*]

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