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[コメント] 嫌われ松子の一生(2006/日)

不幸って、なに?
ミレイ

漫画史上に名作として名を残す業田良家の『自虐の詩』に、こんな一節がある。

「この人生を、二度と幸や不幸で はかりません。 なんということでしょう 人生には意味があるだけです。 ただ人生の厳粛な意味を噛み締めていけばいい。 勇気が沸いてきます。」

この漫画の主人公も松子と同じで、まるで「不幸のデパート」のような女だ。 男には暴力を振るわれ、風俗に身を落とし、裏切られ、世間から疎まれ蔑まれる。 生きてて何が楽しいの?と、傍から見ていると思ってしまうような、「人生負け戦」だ。

でも、それは不幸と呼べるのかな? 松子じゃない私たちが、彼女の人生に対して一体何の権限があって不幸のシールを貼れるのだろう。

だって、松子はいつも歌を歌いながら、本当に、常に何かを信じていた。 確かに松子は不器用で頭が悪いし、浅はかだ。同じ女の目から見てもそうとしか言いようがない。 ただ、自分が愛するものを信じれる幸せは誰より知っていた。 だから私は松子を不幸だとは思わない。 自分が幸せか不幸かを決めれるのは自分自身しかいないのだから。 松子が一度だって自分を不幸だと言っただろうか? 松子は誰かを愛する度に、とてもとても幸せそうな顔を見せる。

傍から見ていると不幸の大名行列みたいな人でも、アッタマ悪いなーと感じてしまう人でも、運のいい人だなーと思える人でも、その人の人生は他の誰かに評価出来るようなものではない。

他人に、自分では全然そう思ってないのに本気でかわいそうとか不運だよねとか言われるととても腹が立つ。それは、自分の幸福が自分にしかわからないものだから。

どんなに辛い事があたって、生きている限り人生は続く。 生きている限り、人には自らの幸福を求め続ける権利がある。 松子は命ある限り100%の力で幸福を求め続けたのだ。

そんな松子にかける言葉はただ一つ、

「松子、乙!!!」

(評価:★5)

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