[コメント] ゆれる(2006/日)
状況を揺るがす簡潔で鋭利なセリフと、香川照之とオダギリジョーの切迫感に満ちた演技が、善意と悪意、寛容と狡猾、憧れと妬みという人間が併せ持つ感情の垣根を揺さぶり続ける。幻想やサイコ全盛の中、久々に真正面から心の闇をえぐる力作サスペンスだ。
確かに、隣り合わせの同世界に潜む異常者たちによるサイコサスペンス的非日常性の突出は、不気味で怖い。もちろん、『マルホランド・ドライブ』や『スイミング・プール』のような幻想サスペンスで描かれる日常性の混乱も、切なく魅惑的だ。
だがしかし、生身の人間同士がぶつかり合いながら相手の、そして自分の心の中に止めどなく湧き出てくる揺らぎをストレートに見せ付けられるのが、やっぱり一番切なくて怖いことなのかも知れない。
久々に、2時間スクリーンに釘付けにされた映画だ。
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