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[コメント] フラガール(2006/日)

東北弁ギャルズ?炭鉱ダンス?どっかで観たような映画を「+」して「÷」ったような映画だが…
つゆしらず

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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まず感心したのは、出演者の東北弁だ。本気度が違うと一瞬でわかる。 特に蒼井優は、「蒼井優って東北出身だっけ?」と思うほど東北弁が体に馴染んでいた。 時代背景や場所も違うし比べようがないのだけれど、 どうやら『スイング・ガールズ』とは違うぞ、と身を乗り出す。

舞台は閉鎖に追いやられる東北の炭鉱である。 …ん?どこかで観たような話だ。スコットランドの某炭鉱でもこんな話があったけ。 仕事がなくてみんな貧しくて、ストライキが起きて裏切りがあって、 主人公が親に内緒で「ダンス」を始めて、親に大反対されて…(以下略) 評判の高さとは裏腹に、個人的には「その評価どうも納得いかね−!」 とわだかまりが残った「スコットランド編」を思い出すと少々不安になる。

しかし、炭鉱閉鎖と貧しさ、そして何より「家族や友、街のため」という 切羽詰まった人々の想いが「ダンス」へと有機的につながって行く展開はリアルで、 奮闘物(部活系)映画だとか実話だとかを超えた感動があった。

個人的には、徳永えりの幸が薄い演技と配役に感動したが、 蒼井優の女優魂は特出していた。 舞台中で披露するフラダンスもさることながら、 満開の笑みで踊る瞳の奥に、悲しみや不安、別れや絆など 「いろいろなものを見てきた」ことを表現していた。計算や理論でできることではない。 感性の赴くまま「紀美子」として踊ったらそうなったんだろう。 久しぶりに「女優」を感じる女優。末恐ろしい21才だ。

確かに「ベタ」かもしれない。確かに、どっかで観たような映画を「+」して「÷」ったような映画かもしれないが、「お決まり」でも、本気で感動させようと思ったらこうなるという熱意のある作品だった。

(評価:★5)

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