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[コメント] それでもボクはやってない(2007/日)

このとんでもない話を、周防正行が作らなければいけなかった訳
ミレイ

これは周防正行という日本屈指のエンターテナーから全ての日本人へプレゼントされた、たった一つの裁判映画。圧倒的なリアリティを持った『映画』というプレゼントだ。

周防監督は一人の平凡な青年の身の上突如降りかかった現実を、過剰な演出も一切なく、被害者・加害者、関係者のドラマティックな感情を3メートルほど離れた場所から、客観的に冷静に描き切っている。

そしてその冷静な目が浮き彫りにするのは、何とも滑稽な日本の裁判。 笑えるところが、全く笑えないのだ。

面白おかしく作って日本の刑事裁判の現状を茶化すことも、周防監督になら簡単なことだったろう。しかし、それをしては今回ばかりは全て台無しなのだ。 私達はこれが「面白いのに全然笑えない」という事に気づかなければならない。 これが現実。面白いことが現実に起こっている、という大変面白くない現実。 これは由々しい…!

この映画を観た外国人は「大笑い」だったそうだ。 笑えたのは、彼らの国にこんな裁判がないからだろう。 この制度で実際裁かれる立場にある私達は引きつり笑いしか出来ないね。

今日は、傍聴席から被告席までの、3メートル程の距離で加瀬亮を観た。 でも明日は自分がそこに立つかもしれない。

こんなストーリー、周防正行というエンターテナーが作らなければ2時間観れる訳がないのだ。なのに2時間半はあっという間。圧倒的な才能で壮大な冤罪レポートを我々凡夫にもわかりやすいように提示してくれた監督は本当に職人だし天才だし聡明。

「笑ってる場合じゃないぞ」という、周防監督からの日本の裁判に関するタレコミをしっかと受け取りました。 ありがとうございました!

お礼が言いたい。

(評価:★5)

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