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[コメント] 善き人のためのソナタ(2006/独)

この映画を徹頭徹尾「盗聴」の映画として見るなら、問題となるのはやはり盗聴する者と盗聴される者との間の「距離感」の演出だ。
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で、その距離感の演出だが、大きく失敗はしていないが、かと云ってきわめて優れているとも云えない。ま、普通。となると、むしろこれを「盗聴」の映画として見た私が間違っていたということになるのかもしれないが、まあ私が間違っていても一向に構わないのだけれども、個人的にはもう少し「盗聴」を活かしてほしかった。

云うまでもなく、この映画における「監視」は視覚よりもむしろ聴覚を行使する形で行われている。それゆえ「善き人のためのソナタ」という楽曲がピアノで奏でられることに特別な意味が生ずるのだが、この映画は「盗聴」という行為が「映画」にとってどのような意味を持ちうるかを突き詰めてはいない。

「窃視」こそが「映画」の本質であるとするならば、そこで「盗聴」を描くことには大きな意義があったはずだ。いいお話であることは認めるが、「映画」を更新してやろうという意欲は感じられない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)おーい粗茶[*] 寒山拾得[*] Orpheus 赤い戦車[*] 緑雨[*] たかひこ[*] uyo[*]

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