[コメント] 白いリボン(2009/独=オーストリア=仏=伊)
日常に透る邪気。不快な映画だ。遥か天上で生じた抑圧は歪みを生みながら弱者から弱者へと下降する。下へ行くにつれ歪みは圧縮され見えにくくなるがその濃度は増し「圧」は高まる。厄介なことに弱者ほど「圧」に対して本能的、つまり非理性的に反発するものだ。
そして、いつの時代も、どこの社会でも歪みは日々蓄積され続け、その反発の頻度の差はあるにせよ、得体の知れない悪意となって不意に日常に立ち表れる。知らず知らずのうちに抑圧者となった我々は、そのどす黒い邪気に復讐されるのだ。我々は便宜的に、それを事件と呼ぶ。
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