[コメント] ブルーバレンタイン(2010/米)
同じ夫婦修羅場モノではあっても『レボリューショナリーロード』なんかと比べ物にならない痛切さ。鈍器で胃のあたりを抉られているような。あまりに痛々しくって目を背けたくなる、のではなく、あまりの痛々しさゆえに目を離せなくなる感じ。
ライアン・ゴスリングがウクレレを弾き歌い、ミシェル・ウィリアムズがタップダンスの真似事をするシーンの可愛らしさ!幸福感!しかし、そのシーンが幸福そうであればるほど今の現実に引き戻されることの残酷さが募る。なんとサディスティックな編集なんだろう。しかも、ダメ押しのようにエンドクレジットでもそのシーンの二人の声がバックグラウンドに流れる。
居なくなった犬を探す冒頭の件りや、スーパーマーケットでかつての彼氏と偶然再会する件り。なんの説明がなくても、なんとも厭な雰囲気が画面から横溢する。その演出力の確かさ。序盤暫くの間の、人物がフレームがはみ出るような居心地の悪いカメラワークも効いている。
娘を授かってから今の年齢になるまでだから、たかだか6〜7年の歳月しか経っていないのだろうに、夫の前髪の生え際は寂しくなり、妻はかつての輝きを失っている。ウィリアムズは凄い。演じ分けが完璧に出来ている。
デレク・シアンフランスは、この映画の企画を12年も温めていたという話だが、こんなに重たいものをそんな長い期間持ち続けられる神経がちょっと信じられなくもある。
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