[コメント] 奇跡(2011/日)
「爆発してるんやで。こんなとこ普通に住んでるなんて意味わからん。」
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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火山灰への態度は前田航基の抱える淋しさや不満の象徴。拭いても拭いても降り積もる。外干しした海水パンツは灰まみれ。
そんな彼も、そう言いながら不貞腐れるばかりではない。自宅の前の交差点は律儀に二段階横断。橋爪功との「ただいま」「はい、おかえり」で始まる会話。真っ直ぐにしっかりと育っていることが伝わってくる。そんなところにも精細な演出を感じる。
ラスト、家族よりも「世界」を選んだ少年には、火山灰の見え方も違ってくる。
「奇跡」に何を願うか、鹿児島組と福岡組それぞれに子供たちが話し合うシーン。アドリブも含めて、子供たちにかなりの程度自由に演らせているのが明らか。それでいながらギリギリの線で劇映画としての成り立ちを保っている匙加減。
それにしても小学生たちは皆素直ないい子だし、意地悪な友達も出てこず大人は全員寛大で親切。今回は徹底して「よく出来た話」だけど、これはこれでいいのだと思う。気分爽快な和製『スタンド・バイ・ミー』。
大塚寧々に夏川結衣、是枝監督はくたびれた美女の使い方がお上手で、味わいのある花を添えている。前田旺志郎の明るくも健気な電話の声に涙する大塚。胸に染みるいいシーン。
新幹線の遭遇シーンはあっけない。画にも今一歩の強さが欲しかった感もあるが、あれくらいのあっさり感こそがこの快作には相応しいのかもしれない。
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