[コメント] TIME タイム(2011/米)
個人的に、このところ以前のように映画を食い散らかせるような時間が到底ないので、この映画の設定は、それがリーマンショック以降の世相をあけすけに取り入れたのであろうとなかろうと、かなり切実に感じられた。
最近気がつくと走っている自分に気づくのだが、そうか、それは俺が貧乏暇なしだったからなんだ……!
相対性理論では質量がエネルギーに転換するが、寿命が貨幣に転換するというのは、それぐらい面白い設定だと思う。この設定によって、古典的とも言えるありきたりなモチーフが実に切実な現在として迫ってくる瞬間が随所にあった。
たとえば、見た目は25歳同士の富に飢える若者と永遠に絶望した不老があいまみえるシーン。このシーンを見て、自分は、この設定を丸呑みして付き合おうという気になった。
そして、母親に向かって走るシーンで、不覚にも涙が出た。
あるいは、闇夜の海で体内時計の緑光に照らされる裸のふたりにうっとりした。
設定が斬新なのに、ていうかSFなのに、ドラマがすべてベタなのも明確に確信的で、ファッションが極めてレトロなのも大変好みだ。
ただ、その一方で、突っ込みどころが多く、終盤がやや惰性に感じられるのも確かで、減点法で淘汰されてしまいかねない映画でもあるんだろうとは思う。
私は、ディテールがおかしくても、大枠で表現したいものが共鳴できるものなら贔屓するたちなので、この映画も守りたい。まして、SFは、ある程度のみこんでのっかって見立てないと、ホントにただの世迷言でしかなくなってしまうし、同じアホなら踊らにゃ損な世界なのだ。
たとえば、Osuone.B.Glossさんが仰る「コーヒーが4分なのにバスの乗車賃が2時間は高すぎる」には膝を打ってそのとおりだと思うのだけれど、ただ、それを「この世界は小市民の動きを抑制することによって成立しているのだから、移動料金はバカ高く設定されているのだ」とムリヤリ解釈してあげたって良いとさえ思うのだ。
ヒロインが大変かわゆいのもあいまって、平たく言えば中二病な、なりきりボニー&クライドな展開も、ラストの疾走=冒頭との見え透いたオーバーラップも大変心地よく見終えることができた。
欲を言えば、タイム・キーパーの悲哀にもう一行、二行くわえることでぐっと深みが増したと思うし、そう言うところでもう一ひねり二ひねりして欲しかったと言うか……それだけ魅力的な題材だったのだと思う。
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