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[コメント] マディソン郡の橋(1995/米)

最も愛する「家族」が退屈の象徴だなんて・・・「母」と「女」で揺れる「人間」の心理をあそこまで表現する役者。ぎりぎりの選択を細かいカット割りで染み透るような演出をする監督。文句なしの名作。
sawa:38

人が人生を生きていくという事は、確実に「死」に向かっていくという事だ。そしてもうひとつ、多くの人にとって「夢」の可能性を食いつぶしていく事でもある。

若者にとって時間とは「夢」を達成させる為のものであり、未知ではあるが輝かしい未来である。だが、いつしか気がつく。毎日毎日現れる現実の壁やら社会の荒波とやらに挫折し、人に追い越され、甘んじて「夢」のランクを値下げしていく事に・・・

若者たちは犬小屋のような小さな建売戸建住宅のローンに四苦八苦しているオヤジたちをみると反吐がでるかも知れない。確かに哀れだ。「それがあんたの夢だったのか?」

アイオワの片田舎に住む主婦も「自由の国アメリカ」での限りない夢をみたのだろう。だが、幸せだが退屈な日々に「夢」を封印し、現実を受け入れて暮らす。ハーレクインロマンスだろうと少女漫画の延長であろうと構わない。そんな彼女にだって「夢」をみる資格はまだあるはずだ。

自分の夢どおりに生きてこられた人間なんて極少数だろう。皆何某かの夢を切り捨てて生きている。未だに夢を追いかけて生きている若者はいい。だが、映画館で涙を流した大人の多くが何某かの夢をあきらめてきた人間たちである事は知っておく必要がある。

そんな大人たちの観かたは「不倫」がどうこうではなく、夢が現実に押しつぶされる瞬間を見て涙するのではなかろうか?

(評価:★5)

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