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[コメント] ラ・ラ・ランド(2016/米)

こう言っては何だが、2人が美男美女すぎないのが、この可愛らしくも切ないミュージカルにマッチしている。エマ・ストーンは、顔はジョディ・フォスターみたいだが、身体性が素晴らしい。単にスタイルがよいと言うより、体幹がしっかりしているというか。
緑雨

あまりに大きく膨らみすぎた鑑賞前の期待に比べるとやや物足りなさを感じたのも事実なのだが、それでも幸福な2時間を過ごさせてくれた余韻が続いている。

オープニングのハイウェイでの群舞で一気にミュージカル世界に引き込まれる。ここは期待通り。それ以降モブシーンが途絶えてしまったのはちょっと残念。歌も踊りも主演2人にフォーカスしていく中では、パーティの後、車を探す流れで夜景をバックに2人が立ち上がりダンスへと入っていく様をカメラが動き、引きながらワンカットで捉える"A Lovely Night"のシーンが最高に好い。プラネタリウムでの浮遊は、予告編を超えるものは感じなかった。

そう、どこか突き抜けてくれないのだ。だが、この突き抜けなさ加減こそが、もやもやとした想いを継続させ、終盤の切なさへと昇華していく。

傷心で実家に帰ったストーンをゴスリングが連れ帰るシークェンスが素敵だし、ラストの悲哀感は『シェルブールの雨傘』を思い出させる。

この『ラ・ラ・ランド』という作品自体が古き良き時代のミュージカル映画にオマージュを捧げているのに加え、劇中の映画スタジオの有り様や閉館間際の古い映画館で観る『理由なき反抗』、そしてグリフィス天文台と、至福のノスタルジーを喚起する。エンドロールで流れるハミング・バージョンの"City Of Stars"が物悲しくも前向きな余韻を残してくれる。

(評価:★4)

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