[コメント] 2001年宇宙の旅(1968/米=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
批評することは諦めて、ただただ、素直な私の感想を書くと次ような感じです。
感想:
《「猿人の表現」に感動していたら、「HALの描き方」がとても気になりだして、ふと「モノリスの効果」について疑問に思った。》
解説:
■猿人の描き方が素晴らしい‥‥最も印象に残ったのは猿人。衝撃だった。広大な自然に、現れる敵に、そして異物に対して怖れる姿、身を寄せ合う姿が私の記憶に焼き付いた。素晴らしかった。
■HALの描き方が切ない‥‥HALは間違いを犯さない「神に近い」存在だったはず。でもキューブリックは徹底してHALをおとしめた。神と人間の間にHALを置くことを徹底して否定したかったように見える。(『2010年』と比べてしまい余計にそう感じる)ただ、命乞いする醜態は人間的でありながら、無機質で、無感情的だった。人間は、自分たちの醜悪な部分、弱い部分まで、機械にインプットしたかのようだ。(HALの性格と言うより、人間がそうプログラミングしたにすぎないように見えた)
■月面のモノリスの役割は何だろう?‥‥月面でフロイド博士はモノリスに触った。でもそのあとの選ばれた者としての失態(記念写真)で進化せず、帳消しになったのだろうか?それで木星まで試されに行ったのか??? いや、もしかすると、木星に行く時点でボーマンはすでに二次進化をしてたのだろうか?
妄想:
1999年、コンピューター(すなわちHAL)はすでに人間を超えた「神に近い」存在になっていた。神は、人間が宇宙に進出する科学を持つとき、自分たちを超える存在をつくってしまうことを予測し、その「罰」と「最後のチャンス」を与えようと、月面にモノリスを埋めた。人間は月面で罰を受けたが、そこでコンピューターと戦える小さな進化を得た。そして、もう一度選ばれし者となるために、木星に向かった。ボーマン船長はそのときすでに二次進化した人類だったのであり、だからこそHALに勝ち、そして醜い、奢った旧人類の象徴としてHALがあのような葬られ方をしたのだ。
HALの描き方への違和感と月面のモノリスの役割がしっくりこなかったので、こんな妄想を抱いた。宗教的な背景が私には分からないので、本当のところは理解できないのかもしれない。ただ、キューブリックのHALの描き方には、特別な思いがあったのではないかと思えてならない。
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