[コメント] 華岡青洲の妻(1967/日)
いやあ、いくらなんでも面白すぎるだろ。伊藤雄之助と高峰秀子が夫婦で子が市川雷蔵という配役を思いついた時点で傑作なのだが、人体実験合戦というハイパーな展開が強いる緊張感を「〜よし」やら「〜のし」やらの柔らかな紀州言葉で無理矢理中和する荒業に驚愕しきり。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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まず伊藤が凄い。市川が登場する前のほうが面白いのではないかと思ってしまうほどに伊藤の存在感が無茶をしているのだが、市川帰還後の闘争を逆説的に準備する高峰と若尾文子の幸福な関係性も胸を打つ。高峰に陰で自分の仕事ぶりを褒められて恍惚とする若尾! いや、市川だってやっぱりいい。麻酔の研究のことしか頭にないようなほとんど超然としたキャラクタで、その超然ぶり自体も実に面白いのだが、高峰と若尾がともに「自分なら死んでも大丈夫」のような意味のことを云って実験台に立候補しあうシーンで「わしの薬を呑んだら死ぬとでも思うてんのか。わしは人殺しの薬を作ってるのやない!」と激昂するところなんかもどうしても笑ってしまう。ベストではないにせよ、これもやはり増村の傑作。
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