[コメント] 火垂るの墓(1988/日)
戦争映画のコメントは難しい。
実際にああいう悲惨な死を遂げた子供達が沢山いただろうと思うので、その悲惨さをありのままに描くこの映画を非難するのは難しい。ただ、あくまで映画として評価すると★1。
映画は娯楽であれ文芸であれ、観客の心の襞をくすぐらなければいけないと思う。楽しい映画でも哀しい映画でも、観客の心が「アレアレ」という間に右に左に動かされ、それを観客自身が楽しむのが本当の良い映画だと個人的に思う。この映画は涙腺を刺激することばかりに終始していて、それがどうしても好きになれない。映画を観る喜びがない。
なんだか一列に並んだ観客の目の前で哀しい話をする語り部が「うんうん…もっと泣いていいんだよ」といちいち端から顔を覗き込んでまわって、自分のようなそっぽを向いた客に「ん?どうして泣かないの?じゃあ、これはどうだ、ガリガリのせっちゃんだ」とばかりに更に悲惨なシーンを用意しているような錯覚を覚える。もともとTVでも泣かせようとする司会者が大嫌いなのもある。
個人的に映画で哀しいから泣くという事がない。涙が出るのは人の素晴らしさを見たとき。主人公やその恋人・家族が死んだから泣く涙は日常でも流れる本物の涙。感動して流れる涙は、いつも斜めに見てばかりの自分が、もっと大きな何か、素晴らしい!と思えるような何かを見たときだけ流れる。だからコメディでもハッピーエンドでも泣く。
ただ、他の映画のコメントで教科書としての映画の存在意義について書いたので、これも戦争の悲惨さを伝えるドキュメントとしての意義はあるのかな…?と迷う。でもやっぱり顔を覗き込まれるのは嫌だ。
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