[コメント] ロッキー(1976/米)
アメリカ映画――技術に関していえば、今や映画界はかつてないほどに充実しているのだろう。特に賞レースに名乗りを上げるような作品は、万全のバックアップ体制でもって、抜かりのない考証を固め、誰が見てもうなづくような合格点をクリアするべく、作り上げられている。
しかし、そうやって最強の映画界によって排出され名作というパッケージに包まれた近作たちが、どれほど公開当時のインパクトを保っているだろう? 観た当時は、すげえなあと思っても、ほんのニ、三年経てばどうでも良くなっている、そんな映画が何本あったことか? まして、四半世紀経って残っているであろう映画なんて、指で数えられる程度なんじゃないか?
俺は、この映画が生まれた年に生まれている。俺は、自分が生まれた年に生まれた映画に、四半世紀震え続け、勇気付けられてきたのだ。
技術もへったくれもない! ボクシングとしてのリアリティが無いからって、それが何だ? 本物が観たかったら、映画館じゃなくて、後楽園ホールへ行けばいい。この作品にあるのは、かつて誰も語らなかった、たった一つの物語。
ある日、たった一人の負け犬が、自分の物語を産み出した。その物語は、どうしようもなく野暮ったかったけど、なぜかキラキラ輝いていた。その輝きを前に、何故、震えが止まらないのか――その理由を言葉にしようとしてみるけど、満足に出来たことは一度も無い。いや、できないからこそ、その輝きは失われないんだ。
この映画を愛してやまない自分は、誇りに思える。ボロボロにされようと、クソミソに言われようと、スタローンとロッキーの名が映画史から消えることは絶対にない!
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