[コメント] サクリファイス(1986/スウェーデン=英=仏)
命を削って作った映画なのに、唯一明るい色調。青空が印象的な映画でした。
コメントにもありましたが、「水」を象徴してきたタルコフスキーが「火」をモチーフにしているように見える作品です。
タルコフスキーの人生そのものが、長編8作品の流れに見事収められています。
生まれいずる子供、羊水、水、水の中から生まれた我々は時代の変遷の中でいつしか迷いに迷います。
鏡やストーカーで登場人物が頭を抱えて悩む姿は人生そのものです。
そして思うのは故郷あるいは祖国。同じ国に身を置きながら、自分の生まれいずる国はいつしか姿を変え、迷いはさらに強くなるのです。
タルコフスキーは地球的な規模でこの作品を表現しようと努力しています。これまで自分が培ってきたモチーフを全て破棄し、新世紀への遺言を残すために自分自身がサクリファイスとなったのです。
黒澤明の「生きものの記録」はいかにも日本の映画というイメージでしたが、これは地球規模の対策でした。
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