[コメント] 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999/英=米)
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派手なアクションや華麗なボンドガール(デニース・リチャーズ) 、これらのシチュエーションはいつも通りの御約束の如く観客の目を楽しませてくれます。ですが今回の007は、このような派手なシーンばかりに目を奪われてしまうと本筋を見失ってしまう危険性があります。
注意すべき点は、今回のボンド(ピアース・ブロスナン) の最大の敵はエレクトラ・キング(ソフィー・マルソー) であって決してレナード(ロバート・カーライル) ではないと言う事。
レナードはエレクトラに翻弄された役として登場しているにすぎません。その証拠に、この作品ではエレクトラの怖い部分がたくさん表現されています。被害者と見せかける為に自分で自身の耳を剃り落とした事や、拷問椅子でボンドをいたぶっているシーンなど、彼女が正気の沙汰ではない事は明白でしょう。特に父親を殺した時と同じ襟のピンを、Mにプレゼントしたシーンは、観客に対して恐怖を与える意味での心理的効果は抜群だと思います。このシーンは個人的に心臓が飛び出るほど身の毛がよだちました。エレクトラは恐ろしい女だと言う事を認識したシーンでもあります。
ストーリー上で注目するところとしては、ボンドがパソコン上でエレクトラ誘拐の画像を見ながら自責の念を感じているシーン。これはボンドが自身の責任でエレクトラの父親が殺された事について悔いているシーンなのですが、このシーンを何気なく見逃してしまうと後の展開について行けなくなります。以後、ボンドはエレクトラ誘拐事件に自ら関与していきます。彼は仕事としてエレクトラを護るのではなく、個人的感情でエレクトラをサポートする役目を買って出たのです。本気でエレクトラを護衛し、本気でエレクトラを殺したボンド。今回の007は見た目よりも精神的にハードな展開なのかもしれません。頭を柔らかくして、過去の007作品とは区別して観賞する事をお薦めします。尚、僕はこの手の作品が大好きなので支持したく思います。
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