[コメント] グラディエーター(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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憎むべきは先代皇帝なのでは、と思ってしまう。実の子供を抱きしめることもなく、改心の余地のない存在として扱い、ささやかな幸せしか望まない男を、民衆の指導者にしようとする。しかもそんなそもそもの疑問を、生ぬるくしか映画のなかでほのめかそうとしてないところが、余計イライラを助長する。しかも断罪しようにも本人最初で死んじゃうし・・・。
考えてみればコモドゥスほど哀しい存在もいない。屈折の原因があまりに痛々しい。望むものが周りに存在しながら、うわべの名声以外何ひとつ自分の手の平の中に入らない哀しさ。そんな悪夢の中で生きているような人間を、死んだとたんに誰も顧みようとしないことがあんまりだぁ・・・と思ってしまった。ズルい手段を使ったとはいえ、欲しい物を勝ち取ろうと最後に戦いを挑んだことに、涙ぐましささえ感じてしまった。
マキシマスは英雄ではない。自分の力を民衆統率に利用されてる人間にしか思えない。言ってみればその強さが武器と同時に足枷になってるという皮肉。根はただのマイホームパパなのに・・・。だからせめてその力に狂信的な支持を見せる、民衆の怖さを感じさせて欲しかった。
スペクタクルの筆力は素晴らしいと思う。ただ、いわれの無い善人悪人のキャラ分けが人物の本当の姿をボヤけさせているというのが、本当の感想。オマケで4点。
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オマケ:自分だったら、先代皇帝を人間味のないキャラにして、コモドゥスとマキシマスを悩める存在として扱う。そして一番コワイものは英雄にまつりあげる民衆のヒステリックな熱狂。ハリウッド向けではないことは確かだナ。
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