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[コメント] ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク)

目を閉じてセルマの気持ちを想像してみると、ラストもなんとなく納得。
Walden

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 チェコからアメリカへ移民としてわたってきて、トレーラーを借りて住む。目が不自由なのを隠して工場で働く。内職もせねば。子供を養っていかねばならない。楽しみといえば、演劇クラブでのミュージカルぐらいか。

 学がないことが、どれだけ大変なのかを彼女はよく知っている。だから、学校に行かない息子を冒頭できつく叱る。「学校に行き、ちゃんと教育を受けること」、それは、我々が想像するよりもはるかに大事なことだ。

 息子のための手術費用を、カン箱の中に貯める。銀行になんかいけない。よく見ると、5ドル札なんかで貯めてる。100ドル札は逆に不自然かもしれないが、なぜ20ドル札で貯めれないか。なぜ、「10セント」なんてものまでちゃんと貯めるのか。

 ようやく貯めたお金が2000ドル?ニューヨーク、サンフランシスコ、ボストンに住んだら、そんなの1ヶ月分の生活費ぐらいにしかならない。

 そういう生活の中で、彼女は視力を失っていく。それが、どんなものなのか、観る側は想像しなければならない。彼女は、自分のそうした生活がいかに苦しいかをよく知っている。だからこそ、息子には同じ思いをさせたくないはずだ。

 そのために生きて、働いてきた。それが彼女の生きる支えだったはずだ。死が怖くないわけじゃない。夢がないわけじゃない。暗やみの中で踊り続けるのは、それが唯一の楽しみだから。決して届かぬ夢への唯一の道だから。

 そんな中で下したセルマの決断に「〜すべきだった」などとは、僕は言いたくない。

(評価:★4)

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