[コメント] アメリカン・サイコ(2000/米)
無名性というユーモア
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この作品にこめられているメッセージは、全編にわたって皮肉られる無名性であろう。やたらと名刺の出来にこだわる登場人物たち。彼らはウォール街で成功をおさめていながらも飢えている。自分のアイデンティティーを確立できずに表面だけの人間関係と自分の評判の向上に終始躍起となっている。そこにあるのは、名刺に表される肩書きだけの関係と名前だけの存在。自分たちの中身はもとより、外見すらも問われない。ベールは自分が築き上げてきた秘密を吐露することによって、つまり自分の内面をさらけ出すことによってこの空虚さからの開放を願うがその試みは結局飲み込まれてしまう。自分のアイデンティティーの確立を困難に思う現代への痛快な皮肉である。
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