[コメント] JSA(2000/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
間違えてはいけない。自らが望んで分裂したのではなく朝鮮半島の南北両国の成り立ちはアメリカの資本主義利権とソ連&中国の社会主義思想利権の対立(どっちが優生思想かの勝負)だという事と、当事者である朝鮮民族の意志を意図的に無視して大国の都合のいいように建てられた国である事を忘れないで欲しい。
《知らない方がおられたので暫し朝鮮半島何故分裂したかの復習》
日本が敗戦すると、それまで日本が植民地にしていた朝鮮半島にソ連が北から南下してくる。そしてアメリカがその勢いを見て「朝鮮半島が社会主義国家にされてしまう」と焦ってその進撃に対する軍隊を投入し北上したのです。で、ここでアメリカは何故か北緯三十八度線を境に南北をお互いの軍隊が分割占領することを相手国のソ連に提案しソ連もこれを快諾してしまう。
この時点で「ん?」となりおかしいと感じるのだけれど、その後もやりきれない。
日本に連合軍が勝った時点で朝鮮半島は自力で立てるまで連合国が最大5年間米英中ソの4カ国で統治することを計画していたのだが、この計画に自分の利益が少ないと感じたのかアメリカとソ連は激しく対立し計画は進まず結局国連の裁量にまかされたのであった。そして任された国連は総選挙を実施し統一された政府の樹立を目指す事を決定し選挙を行おうとしたのだが、選挙=民主主義という考えから敵対国家が成立してしまうで、アメリカの資本主義陣営に入る可能性大だからソ連が大反対したのです。
でも結局なんだかんだで、その時点で総選挙が可能な所から実施していくことになり朝鮮半島の南半分で行われ、そこから選出された国会議員により構成された憲法制定議会で大統領にその後徹底した反日教育と北との対話を一切拒否する方針を貫いた李承晩:イ・スンマンが選ばれ1948年8月15日に大韓民国の成立を宣言したのです。が、北半分の選挙は違っていた。まずソ連は自国よりの国家で操作しやすい人物が国のトップにならない事には北朝鮮がアメリカの資本主義陣営に取り入れられてしまい自分の立派な思想が揺るがされると感じ「太平洋戦争」でソ連軍大尉であった金日成:本名:金成柱を担ぎ出したのです。
詳しく言うと本名金成柱だが金一星:キムイルソンで満州で日本軍に対してゲリラ活動していました。しかし追われてソ連軍に逃げ込みソ連軍大尉となったのです。そして朝鮮半島をまだ日本が支配していた時に日本軍との戦闘で大きな功績を上げた『金日成』(金成柱とは別人)と発音が同じなのでソ連が『伝説の将軍金日成』として嘘の金日成をリーダーの地位につけたのです。(映画的に例えれば『犬神家の一族』のマスクマンです)
で金日成をトップに据えた事実上の政権である北朝鮮臨時人民委員会を1946年発足さしたうえで、自由投票とかけ離れた総選挙(人民委員会選挙)が行われた。
まずその選挙は立候補できたのは各選挙区にひとりで有権者は皆の前で立候補者に支持なら白い箱に反対なら黒い箱に投票する事を強制されて誰が誰に入れたかまるわかりなのであった。当然の事ながらバックに怖いソ連がついているので金日成側に自然と必然的に票が集まったのです。そして怪しい選挙から選ばれた人民委員会を中心に1948年9月9日にソ連の言いなり国家で民主主義とは名ばかりの朝鮮民主主義人民共和国が成立。
その後、朝鮮半島に住んでいた同一民族は南北に分断され38度線で分断され『越北』(社会主義に憧れる人々が北に向かう事)『越南』(社会主義を嫌う人々が南に向かう事)という大移動がおき、同じ民族同士で1950年6月25日(日)にアメリカとソ連の代理戦争『朝鮮戦争』が勃発したのです。(その後1949、50年に金日成がソ連を訪問し、スターリン首相から武力統一の許可を受けていた。朝鮮戦争を仕掛けたのは北朝鮮、ソ連ペアだったと1970年に出版されたフルシチョフ回顧録で明らかに)
その後は皆様の学校で習って知っているように、決して血が流れるはずのなかった場所に血が流れ、血によって固まった憎しみと言う大地が出来てしまい今もなお対立が続くのです。
《以上を踏まえた上での勝手な解釈》 最後に自殺した兵士を含めた、あの4人の兵士達は朝鮮半島の歴史そのものを象徴しているのでは?
とするならば、地下での談笑風景は分断される前の朝鮮半島。談笑したときのチョコパイの話は『越北、越南』を表し『北の監視所』での惨事と『帰らざる橋』での銃撃戦は朝鮮戦争を意味し、その事件の事後処理をした中立国スイスから派遣された調査官は現代史を理解していない自国の人々(戦争を知らない若者)と現実世界においての朝鮮半島情勢の正確な成り立ちと問題の認識の低さを表していると思う。
そしてラストの自殺する『兵士の死』は今後の南北問題に対する監督の解決法を示しているのでは?それを端的に言えばイソップ物語の北風の話とは逆の行動を北朝鮮に起こさせるための『太陽政策』を意味すると思う。でもそれでは不十分であり別の考えが存在すると感じた。
それは「自己犠牲がまだ少ない」と言う事の暗示だとも思ったりしたが、もう少し強引に考えてみると東アジアに緊張を今だ意図的に作りだそうとしている大国に対する抗議。実はアメリカ、ソ連両大国のした事を知らないその国の国民の前での抗議をしたのではないか?何故こうなったのか知らせたかったのでは?さらにCIAが反共産勢力に対する活動資金&武器の提供とその後のケアの杜撰さを痛烈に批判しているのかもしれない。それによるテロとパレスティナ問題の泥沼化も批判しているのかもしれない。
《凄い映画に白旗!》嗚呼、ここまで書いておいて結論がでない…ここまで誤字脱字が多い文を読んでいただいたのに申し訳ない…奥が深い朝鮮問題を実務が少なすぎる一日本人が答えを探すには…勉強しなおします。(反省)
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