[コメント] アザーズ(2001/米=仏=スペイン)
映画を見終った人むけのレビューです。
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霧深く人里離れた中に佇む闇と静寂に支配された洋館。戦地に赴いた主人に代わって屋敷を守る女主人、奇病に冒された子供達、ある日突然やって来たどこか得体の知れない使用人達。映画好きの人ならこう書いただけで何本もの映画が思い浮かぶに違いない。
光と音から隔絶され屋敷の中にある50個のドアには全て鍵がかけられている、という異常な雰囲気を漂わせながら、この映画には派手な流血シーンや雷に打たれて息を吹き返した殺人鬼は出てこない。鬱々とした空気の中に違う何か(=others)の気配を感じその緊張感が観客の中にある恐怖心を刺激するのだ。恐怖となるべき対象を描ききらないことで恐怖の本質に迫るというか。
一流のスリラー映画は美女が怯え、二流のスリラーはイモ姉ちゃんが絶叫するというのは僕の勝手な持論なんですけど、子供のしつけに厳格だった主人公が、次第に子供の言動に怯え、使用人に怯え、家の中で起こる怪奇現象に怯えていく。恐怖に見開かれるブルー・アイズといえばヒッチコック的な世界である。段々影響力を持つ使用人とヒロインの関係は『レベッカ』のようでもあり、主人公の名前はグレースだ。当然ヒロインはブロンドよ。とまあヒッチコック的な連想をさせながらも映画は予想だにしないクライマックスを迎える。
映画見ながら驚きのあまり体がびくっと反応することはあると思うけど、この映画のクライマックスでは場内の至る所から小さな叫び声があがりました。ひとしきり驚いた後は哀しみの余韻に包まれる。母親の子供に対する愛情の深さを垣間見ました。映画冒頭での母子の会話が上手く活かされていると思う。是非劇場で堪能してみてください。
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