[コメント] ロード・オブ・ザ・リング(2001/米=ニュージーランド)
映画を見終った人むけのレビューです。
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イマジネーションを駆使した映像。原作を読んでない自分でも、活字の世界が映像となってスクリーンに再現されていくワクワク感は想像できる。ただ「世界観」の映像化として見ると、かなり背景となるものが曖昧なので、どうしてもイメージ映像の域に留まっているという苛立ちを感じてしまう(極端に言ってしまえば小説の挿絵を抜き取ってパラパラ見ている感覚に近いような)。ただ監督の映像化に対する気迫は十分感じられ、イメージ映像もここまでハッタリが利いていれば良しとするかぁ、ってな気分にもなってくる。あくまで原作が未読なので、そんなことも言えるのだろうけど・・・。
皆様のご意見と同じく、とにかく原作を読んでみたいというのが一番の感想。物語の進め方は粗っぽいのだが、ところどころで本来の原作が(おそらく)持っている魅力的な片鱗が見え隠れする。そんな興味をひいたことを少し・・・。
まずオモシロイと思ったのは、あくまでサイドに置かれてる人間の扱い。主人公になるでもなく、悪役になるでもなく、この壮大な世界の中で人間という存在は、あくまで脇に添えられている。人間が世界の中心というワケではなく、あくまで世界の様々なものを通して見えてくる人間という存在を描いているという視点の謙虚さが、とても興味をひく。ただ、映画の中では、ホビット、エルフ、ドワーフなど、それぞれの架空の民族性みたいなものがイマイチ説明不足の感があり、それらのものと人間との間の明確なコントラストがあまり利いてなかったような気がする。少し残念。
そして指輪。やはりいろいろな解釈をしてみたくなる魅力がある。個人的にあらゆるもの(名声、力、才能、富、人間、世界・・・・)への飽くなき所有欲の象徴のように思えた。個人という限られた器が、世界のあらゆるものを手に入れようとしたときに交わす悪魔との契約。まさに核のボタンを手に入れたようなものだけに、世界にとってその人物は悪魔と同じくらい脅威となる。しかし限りある器なだけに、手に余るものを所有してしまったことで、ことごとく器は壊れ、指輪だけが残り、長い年月を経て次の主人の手に巡りめぐっていく。まさに歴史そのものといった感じがした。・・・とはいえ、この映画の段階でこの物語を評価しろと言われても、かなり難しい。何しろ指輪を捨てた後にやってくるであろう世界を見てみないことには、いかんともし難い(捨てられなかったという結末も考えられるし)。本来ならこの段階では点数などつけられないような気もするし(それも皆様の意見に同意です)。
とにかくまずは原作を読んでみなければ、という気にならざるを得ない(作りが粗いということもあって)。ともあれ今の段階ではイアン・マッケランが圧倒的に素晴らしい、ということだけ言っておきたいと思う。あ、それからやっぱりカメラの振り回し方は気になる。安手のホラーじゃないんだから、原作を愛してるのなら、もう少し風格のあるカメラワークを見せて欲しいもんデス。
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