[コメント] スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
スターウォーズの小ファンです。本作、とりあえず異なる劇場で3回観ました。
つらつら、感じたこと、気がついたこと、疑問に思ったことを以下に記しましす。長いです(多分、自己最長)。ファンがうん蓄たれていると捉えて頂いて結構です。
私は『スター・ウォーズ』シリーズは、単編で成立する作品ではないと当然のように考えてます。このため、以下のレビューも他のエピソードとの関係について遠慮なく触れてます(というより今までの総括コメントとなってしまいました)。そちらを未見の方はご注意ください。
本作は旧3部作とEP1を結ぶ非常に意味深いエピソードです。エピソード間の人物、事件等の関わりを理解することで、楽しみが増すのではないでしょうか?
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<<ジェダイについて>>
「ジェダイは兵士ではない。」と、マスター・ウィドゥ(サミュエル・L・ジャクソン)は冒頭で言う。そう、ジェダイの騎士は、平和を維持するために活躍こそすれ、戦争で活躍する兵士ではないのだ。
初回鑑賞時、惑星ジオノーシスのコロッセオで、ジャダイが一堂に会した場面に、私は泣いた。多くのジャダイの勇姿とライトセーバーを一度に見ることが出来たからではない。その後、彼らのほとんどが死に絶える運命を知っているからだ。彼らは大量生産のドロイドを前に、次々と討たれていく・・・
兵士でないジェダイが戦闘に参加せざるを得なかったこのシーンは、暗い時代の訪れを予感させるものがあった。ジェダイが戦士として絶大な力を得るためには、ドゥークー伯爵(クリストファー・リー)のようにダークサイドの力が必要なのだろう(やはり、ヨーダは別格)。
確かに、過去の作品を振り返ると、EP4のオビ=ワンとEP1のクワイ=ガンは、いずれもあっけなく敗れる。EP6のルークも父ダース・ベイダーに勝ったわけではない。要するに、ジェダイの騎士は、初めから我々ファンが期待するほど肉体的に強くなかったわけで、彼らの怯まぬ精神こそジェダイたる所以なんだろうと思った。
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<<フォースについて>>
予言は言う。アナキンは、ジェダイのフォースにバランスを取り戻せる唯一の人物だ、と。
EP1,EP2では、ジェダイのフォースがダークサイドにより曇らされる様子と、アナキンがダークサイドへと向かう様子が描かれていた。おそらくEP3では、その全てが明かされるのであろう。EP3でダース・ベイダーとなったアナキンは、皇帝と共に帝国を樹立する(EP4~EP6)。
最終的には、息子ルークの純粋な心で目覚めたダース・ベイダーが皇帝を倒す(EP6)ことで、この予言が正しかったことがわかる。
以上考えると、「スター・ウォーズ」シリーズは、予言の物語、すなわち、アナキン(=ダース・ベイダー)が、紆余曲折の末、ジェダイのフォースにバランスをもたらす物語とすることができると思う。フォースにバランスをもたらすには(=皇帝を倒すには)、「アナキン」+「ダーク・サイドの力」=「ダース・ベイダー」が必要だったということであろう。
そうすると、EP6の邦題『ジェダイの復讐』は、原題「Return of the Jedi」の訳としてはやはり不適切だと思う。原題の意味をこの流れで考えると、「ジェダイ(=アナキン)の帰還(復活)」といったところだろうか。 その後を描いたアナキン不在のEP7~EP9(制作予定なし)の脚本も気になるところ。
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<<パドメ・アミダラについて>>
本作のアミダラ(ナタリー・ポートマン)は、肌の露出度が高く、衣装を何度も着替え、その表情も魅力的だった。また、重責を負った元老院議員のしっかりした一面と、アナキン(ヘイデン・クリステンセン)との禁断の恋に制動が効かない年若い乙女の一面の両面が描かれていた。
このアミダラの描写は明らかに、定番の衣装にきつい性格、そしてハン・ソロ(ハリソン・フォード)に容易に心を許さなかったレイア姫(キャリー・フィッシャー)とは対照的であった。
この点についての私の解釈は、後にアナキン・アミダラ間に生まれるレイア姫は、惑星オルデランのベイル・オーガナ元老院議員(ジミー・スミッツ;共和国支持の平和主義者)によって密かに育てられるが、アミダラの陥った過ちを反省に、質素に、恋愛に対して厳しく育てられたように思われる。ラストのパルパティーンの隣でオーガナが頭を垂れるシーンは、これを物語っていたように思える。
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<<ダーク・サイドのテーマ曲について>>
今までダース・ベイダーのテーマ曲だと思っていた例のメロディーは、ダーク・サイドのメロディーだということがわかった(私はそう感じた)。本作で流れるシーンは計3回(確かEP1ではなかったはず)。
最初はアナキンがタスケンを虐殺する最中にヨーダがその感情を感じ取り、マスター・ウィドゥに語るシーン。
2回目は、その虐殺についてアナキンがアミダラに打ち明けるシーン。
3回目はラスト。パルパティ-ン(イアン・マクダーミド)が強大なクローン軍を見下ろすシーン。
1回目から3回目にかけて、メロディーは滑らかな調べから荘厳なオーケストラ調へと変化する。まさにダークサイドの帳(とばり)が開くかのように・・・
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<<アナキンとオビワンの剣さばきについて>>
いうまでもなく、本作のアナキンと旧3部作のダース・ベイダーは同一人物。そして、本作のオビワン(ユアン・マクレガー)と旧3部作のベン(オビワン;アレック・ギネス)も同一人物。
しかし、彼らの剣のスタイルは明らかに異っていた。
特に全身で素早く剣をさばくアナキンに対し、ダース・ベイダーは上体のみの堂々とした威圧的なスタイル。
このあたり、老練と解釈すべきか? ルーカス監督が剣術にこだわりがないとすべきか?
私の気のせいかもしれないが、本作のオビワンの剣術はEP1に比べ迫力がなかったように思われる。また、アナキンはEP3のクローン戦争で体の殆どを失い機械化されるという旧3部作の設定もある。
以上から、本作に好意的に解釈して、エピソードによる同一人物の剣のスタイルの違いは、老練と機械化によるとしたい。
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<<EP3への期待と予想>>
本作では、アナキンはダークサイドに落ちきっていない。彼は、どの時点でどのようにダークサイドに落ちるのだろうか? クローン戦争の前か、最中か、後かで全く異なるストーリーが考えられる。そのキーを握っているのがアミダラだろう。
旧3部作から、EP3では最終的にアナキンはオビワンとヨーダと戦う立場になるはずだが、ドゥークー伯爵の立場が微妙。何故ならシスの暗黒卿は2人で行動するという、本作の掟があるからだ。この為、私はクローン戦争の最中説をとる。
ドゥークーが倒れるまでは、アナキンはジェダイの側にたつのだろう。ジェダイもしくはアナキン本人によるドゥークー打倒後(ドゥークーがダーク・シディアスに裏切られるという展開も考えられる)、ダーク・シディアス(パルパティーンと同一人物)は何らかの方法(おそらく間接的な手段)でアミダラを殺害し、アナキンに憎悪の感情を引き起こし、ダーク・サイドに引き込むのではないだろうか?
EP3でアナキンが暗黒面を被りダース・ベイダーになるシーンがあるかどうか? も、大きなみどころ。
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もう一つ、スターウォーズシリーズの最大の謎、すなわち、旧3部作でオビワンとヨーダがその死後、消えた事実と、EP1でクワイ=ガンが火葬された事実の謎ときだ(ジェダイは死後消えるかどうか?)。
本作でも何人ものジェダイが討たれた。私が観た限りでは、ヨーダのクローン軍が到着する頃には彼らの死体は消えたようだった。
SWのアメリカ公式サイトによると、EP3でこの謎が明かされるとのこと。ここはあえて予想せず、真っ白な気持ちでEP3に望むとしよう。
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<<その他、メモ>>
(1) 旧4作でも登場するおなじみの台詞( I've got a bad feeling about this.)。今回はアナキンだった(コロッセオの柱にくくられたシーン)。この台詞がでると厄介ごとが起きるのはいつものことだが、何とか切り抜けてしまうのもお決まり。うれしいけど、先が読めてしまうのが難点。
(2) クローン兵士はみな、ジャンゴ・フェット(テムエラ・モリソン)のクローン(遺伝子操作あり)という設定だった。そして、ボバ・フェットもジャンゴのクローン(遺伝子操作なし)。そうすると旧3部作のストゥーム・トルーパー(全身白い防具に覆われた兵士)もジャンゴのクローンかもしれない。EP3で明かされるかも。
あと、惑星カミーノで少年のクローンと成人のクローンが写されるシーンがあるが、確かに少年はみなボバと同じ顔をしていたが、成人のクローンは、ジャンゴではなく、キャプテン・タイフォ(冒頭で登場する片目のアミダラの護衛)と同じ顔をしていた(ような気がした)。 何か意味があるのかも・・・
(3) 惑星ナブーの草原でアナキンがロデオ乗りする動物は、よく観るとEP1でもナブーの草原の戦闘シーン前に少しだけ登場している。このシーンは、EP1の脚本作成時からルーカスの構想に入っていたのだろう。このあたりさすがに芸が細かい。
(4) アナキンの母、シミ・スカイウォーカー(ペルニラ・アウグスト)がタスケンの村で死んだ。今回登場した、のちにルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の育ての親となるラーズ夫妻(EP2では恋人どうし)もまた帝国軍によって殺される。このように、アナキンとルークの境遇が似ていることがわかる。このあとのアナキンとルークの怒りの感情のベクトルが、2人の運命を左右する。ジェダイになる前か後かもポイント(ルークは、アナキンとは対照的にジェダイになった後は、怒り、愛といった感情とは無縁だった)。
(5) R2が空を飛んだ。いつの間にそんな能力を? いままでこの能力を活かせた局面が他にあったような・・・
(6) マスターヨーダは、柱が倒れるのをフォースで食い止めオビワンとアナキンを救うが、オビワンとアナキンを動かしたほうが早かったのではないだろうか? ジェダイを動かすには、あの巨大な柱以上にフォースを要するということか?
(7) ドゥークー伯爵のライトセーバーの握り位置のデザインは、ジャダイのセーバーと異なり曲線状となっていた。
(8) 米公式サイトによると、デジタル版は、色彩の微調を含めて、フィルム版と70ほど異なる箇所があるとか。これも観たい。
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'02.07.30
<<フォースについて>>の節に、一部追記しました。'02.08.06
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