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[コメント] 愛しのローズマリー(2001/独=米)

自称「人道主義マニア」?上等じゃねぇか。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「人道主義マニア」という言葉を、自嘲気味にローズマリーが口にする。

おそらく彼女は自分のやっていることにつきまとうある種の胡散臭さも、さらには精力的な活動の根底には自らのコンプレックスが少なからず関わっていることも認識しているのだろう。そんな諸々のことを認識し、当然幾ばくかの後ろめたさを感じつつも、あえて活動の手をやめようとしない彼女の心の有り様。そして彼女は自らも同じように救いの手を求めていることも知っている。

でも彼女が素晴らしいのは、ハッピーエンドで自分に救いの手が見つかったからといって、活動をそこで止めようとしないこと。あらゆる偽りと自己嫌悪に心が支配されたとしても、それでも彼女の心の中には最後の輝きが確かに残っている。

一見荒唐無稽でチープな話に見えながらも、彼女の等身大のキャラが作品全体に厚みを与えている。そして安直な美醜の逆転よりも、「心の美しい人」としてあえて彼女のような複雑で屈折したキャラを置いたことにこの作品の真価があるように思える。

たとえば大して「心の中」も描かずに、火傷を負った子供たちが天使に見えるという部分だけを取ったりすると、正直胡散臭さを感じてしまう。でもローズマリーというキャラをデリケートに細かく描くことで、「ああ、ここに出てくる心の美しい人ってのは、彼女のように様々なコンプレックス(や障害)を抱えながらも、それでも自らと向き合い、あるがままの自分を受け入れられる力を持った人の事を指してるんだな」と思いながら見ることができる。

そもそも「心の美しさ」とは何だろう。それは単に汚れていない心を指す言葉なのか。いや、きっと彼女のようにあらゆる汚いものや偽りを味わいながらも、それでも輝ける人に対して与えられる言葉なのではないだろうか。そんなことを思う。

(評価:★4)

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