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[コメント] アメリ(2001/仏)

神様になりたかった“かわいい”女=アメリ

たしか、なにかの映画かマンガだったと思うのだけれど、こんなシーンがあった。 キャバクラで、サエない一人の男があるキャバ嬢に向かって「もう俺は女に飽きちゃったよ、ハハハハハハ」と笑う。のだが、なんと実はそのキャバ嬢は、男のオナニーとセックスの回数を透視できる能力を持っているのだ(!)。だから、たとえばキャバ嬢の目には「オナニー13629回 セックス21回」という数字が浮かぶ。けれど、そのキャバ嬢は、男の見栄っ張りと強がりをからかったりせずに、ただ“かわいい”とほほ笑む・・・。『アメリ』を観ながら、アメリに対して僕が感じたファースト・インプレッションも、まさにそんな“かわいい”だった。

(ほとんどの)男はなかなか“美人”を口説こうとしない。いや、口説くことができない。恐いから。「これだけの“美人”なんだから、もう彼氏がいるに違いない」「あの“美人”がオレなんかを相手にしてくれるわけがない」・・・などなど。だから、(ほとんどの)男は“かわいい”女を口説こうとする。

アメリ』に対する批判で「映画の始まりから終わりまで、アメリは全く成長していないじゃないか」というものがあるけれど、それは同語反復だと思う。むしろ、「アメリは全く成長していない」からこそ、多くの人はこの映画に惹かれているのだから。「全く成長していない」アメリの、タンポポの種のようなふわふわとした弱さ。その「弱さ」と“かわいさ”は結局同じことなのだ。

女がダメ男に惹かれることがあるように、男もダメ女(=アメリ)に惹かれることがある。たぶん、そういうことだろう。

そして今日も、僕は“美人”を口説けない。トホホ。

(評価:★3)

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