この映画を見たのは中学生の頃でした。その年齢の頭の中はエッチなことしかなく、母の婦人雑誌の下着の広告や英語の授業で６の発音「シックス」だけで喜んでいた頃でした。そんなうぶで悶々としている中学生がある日新聞のテレビ欄を見ると「エマニュエル」とでているではありませんか。見たい！しかしテレビは両親のいる居間にあり深夜の時間です。不可能です。けど見たい！実はさかのぼる事１年前「エマニュエル夫人」をラジオでは聞いていたのです。テレビも聞けるラジオでエアチェックしながら聞いていました。 今考えると本当に馬鹿みたいですがテレビの映画を音だけで聞いていました。野球中継と同じで凄いイマジネーションがわきます。けどすごい渇望感が残りました。それから１年。もうどうしても見たい！考えました。そういえばお年玉がある、これにお小遣いを合わせたらテレビが買えるかも。次の日学校帰り街の電気屋さんまでお金を持っていきました。大きいテレビだと部屋に隠す所がない、なるべく小さいものをと探しているとなんと当時出たばっかりの携帯テレビがあるではありませんか。大きさは片手で持てるぐらい白黒で電池でしか見れない。値段が４万円ぐらいだったと思います。高い！高い、お小遣いもなくなってしまう。悩みましたがついに買ってしまいました。あの歓びは今でも忘れません。「これでエマニュエルが見れる！」と夕日に向かって叫びました。

そして当日、部屋でお布団をかぶりながらこの映画を堪能しました。あの雨のブランコのシーン、白い服が雨で濡れ段々透けてきて、そしてブランコから降りぐしゃぐしゃの地面で泥だらけになりながら・・。大人の世界を見てしまいました。大人って素晴らしい。女性って素晴らしい。

とっても小さい画面でした。そして白黒でした。電池なので１時間ごと替えていました。しかしそんな条件を吹きとばすほどのすばらしい体験でした。

実はこの小さい携帯テレビが私の映画好きになったきっかけでした。 この映画の次ぎに見たのはマリリン・モンローの「ナイアガラ」でした。 そして昔ラジオでしか見れなかった「エマニュエル夫人」も見ました。 ただラジオより興奮しませんでした。

不純な動機こそあらゆる原動力になるかも。