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[コメント] 地獄の黙示録(1979/米)

いかにアメリカが他の戦争と、「ベトナム戦争」を差別化しようとするか。その思い入れの鬼気迫った映像化としては秀逸。
くたー

ドラッグ、セックス、サーフィン、ロック・・・。当時のアメリカの文化を持ち込み、無数のナパーム弾と共に密林に消費しまくった狂気は確かに伝わってくる。莫大な金を相次ぐトラブルで浪費しまくった製作の過程とシンクロしてくるのも面白い(製作過程のドキュメンタリーを見るとさらに肯く)。ただ狂気自体はどの戦争にもあって然るべき。あくまでアメリカの大量消費の愚行に対する苦さが、彼らのベトナム戦争に対する苦味を伴なった思い入れなんだろうと思う。そういった意味では、愚行を感じさせるには突き詰めが甘いかな、とも思うが。ともあれこの戦争に彼らが勝っていたらどんな語り継がれ方をしたのか、と思うと怖いものがある。

映画の本筋自体は成功しているとは思えない。いっくらマーロン・ブラントを登場させたからといって、カーツ大佐をハッキリ実在させてしまった事が、この映画を凡作にしてしまっていると思う。見えなかったり、幻覚と解釈できそうなくらい曖昧にしておいた方がはるかに怖いと思うのだが・・・。いずれにせよコンラッドを原作に採らない方が正解だったのではないだろうか、という疑いは禁じえない。

(評価:★4)

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