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[コメント] 雪之丞変化(1963/日)

この映画はとても面白い。市川崑独特の技巧センスが良いかたちで存分に発揮された傑作だ。美術の西岡善信、撮影の小林節雄含めてとても良い仕事。シネスコの画面いっぱいに完璧に設計された構図が現出する。そして音楽もまたとても面白い!
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 芥川也寸志八木正生の二人の分担は、多分、若尾文子のテーマと云うべきストリングスが芥川で、江戸の下町のシーンでかかるジャズが八木の仕事だと思うのだが、いずれも画面から浮いてしまう瀬戸際のところで主張するバランス感覚が絶妙なのだ。特に悲劇のヒロインである若尾文子のシーンだけ(加えて若尾文子のことが語られるシーンだけ)に奏でられるストリングスはまるでハリウッドのメロドラマの映画音楽のようなのだが実に美しい。

 ただし、山本富士子のべらんめえ口調はあんまり上手くない。粋筋のルックスや立ち居振る舞いはバッチリなのに惜しい。さらに、この長谷川一夫の雪之丞はちょっと無理がある気はする。1935年の林長二郎版(衣笠貞之助版)は残念ながら未見なのだが、1935年当時の彼の女形姿は真に倒錯的な美しさがあっただろう。

(評価:★5)

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