★3 | 聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメンVS悪魔軍団〜(2024/日) | シリーズ初見である事に何の躊躇いもないほどクソくだらないのであるが、松山&染谷の出来る2人が熟す熟達の定番ギャグはシラけるを通り越して名人の古典落語の赴きがある。商店会福引の件は白眉であろう。一方で佐藤二郎は個芸が最早痛々しい。 | [投票] |
★3 | 64-ロクヨン-後編(2016/日) | 「刑事はそんなことも解んねえのか」との浩市の嗚咽は友和他の頭上を上滑る。映画はそこに収斂するようには仕組まれてない。『砂の器』的な情への浸り方が出来ぬのならいっそ言わせぬ方がいい。機構側の男達の多くの屈託もその構成の断層に埋没した。 | [投票(2)] |
★5 | マイ・ブロークン・マリコ(2022/日) | ヘヴィスモークやシケた中華屋のラーメンや居酒屋での1人酒などがヤサグレてんです私的な自己顕示でなく内実を伴う必然に見える。それは彼女の「生」への本能的希求が十全に描かれるからで、マリコを悼む、救えなかった自分を苛むからではない。真女性映画。 | [投票(2)] |
★5 | 愛にイナズマ(2023/日) | 理屈つかないことが現実にはあるというモチーフがきれいに回収できたとも思えぬが回収する必要もないというのもこの世の中の現実だし物語は流れに任されて転げていく。それが圧巻。きれいごとの屁理屈は隠された誠意や真実や正義や愛の稲妻にぶっ飛ばされろ。 | [投票(2)] |
★4 | 64-ロクヨン-前編(2016/日) | 男が理のないことを通せざるを得ないとき、すり替えギリで搦め手から感情論でゴリ押しに突破する様を真正面から描く。映画は仕方ないことだと共感を漲らせている。警察機構のヒエラルキーと摩擦を多くの顔に味ある役者が演じる様はヤクザ映画並みにそそる。 | [投票(1)] |
★3 | 東京喰種 トーキョーグール(2017/日) | 『寄生獣』と似た構造だが高潔さが無い。良・悪グールが居る設定自体が凡庸で良いグールしか出てこない展開は主人公の悲愴を希釈する。彼岸に行く話なら此岸を描くべきで2人の捜査官で代替しちまうのも覚悟が足りない。富美加が良いのは覚悟の度合いか。 | [投票(1)] |
★5 | 予告犯(2015/日) | 恵梨香の絶句を機に世界は転倒した。『ショーシャンク』を掠り遥かキャプラまで敷衍したかの如き映画構造が大甘にせよ行き場無き時代を照射するには必要な気がする。格差やネットを巡る描写は浅薄だが追跡劇の高度に歪な映画的時間配分の良さが補完。 | [投票] |
★3 | Cloud クラウド(2024/日) | 老境に差し掛かる黒沢の70年代映画への郷愁を塗した出涸らし集大成の感があるのだが、乾いた反リアリズムの一方でナウな時代性への追っつかなさが露呈して気持ち悪い。『クリーピー』で到達した映画言語弄士の域からの後退。買えるのはバスシーンのみ。 | [投票(4)] |
★3 | ある男(2021/日) | ある男の得体が知れるにつれ全てが腑に落ちてしまい身も蓋もない。新たな『砂の器』としてなら窪田の来し方への寄添いが、『羊』的な心理の迷宮なら柄本の仕掛けが半端。サクラ筆頭に役者陣が総じて演り切れてない感があるなか小籔だけ充足。 | [投票(2)] |
★3 | 抱きしめたい 真実の物語(2013/日) | 「逃げるなら今のうち」と言う台詞の重みが夜のメリゴーの煌きに融解する場が白眉だが、物語はそれを回収するわけでもない。脳性麻痺ブラザーズ他リアリズム志向のバックグラウンドが買えるだけに詰めの甘さが目立つ。只管に景子ちゃんの真摯さが泣ける。 | [投票] |
★4 | ロマンス(2015/日) | 自分探しとかではなく失われたと思い込んでた過去を見つける旅路である点に於いて『四十九日』と通底すると言うかこれしかないんかとさえ思わせたが、臨界線上の男を描く腰の座りが優子の「ま、いいか」的開き直りと共振する。確かにそんなもんだと思う。 | [投票(3)] |
★4 | 初恋(2019/日) | 絡み合う各人の思惑と想いが過不足ないとも言え形骸的スタンダード仕様とも言えるのだが、土壇場での焦燥と錯乱が臨界越えると笑いに転じる様が程よく配置され、そこに三池の練達の境地を感じさせる。留守電のプロットは爆笑もの。ラストの余韻も鮮やか。 | [投票(4)] |
★3 | 春に散る(2023/日) | キャスティングの妙と各々の力演は味わい深いのだが、話の支点が分散してどっちつかずの印象を免れない。流星の致命傷はなくてよかった。文字通り「春に散る」為の話として佐藤の心の揺らぎこそなのだ。ファイトシーンも迎合的だし肉打つ感に欠ける。 | [投票] |
★3 | ラストマイル(2024/日) | 得体の知れないキャラと演じる満島の複層性が映画を牽引していくのだが、よくよく考えてみればそれで何かが改善・変革したんですかーとなる。巨大寡占産業と隷属する国内物流の問題はちょい触れてみましたレベル。祥平の焼石に水やハハハでお茶濁し。 | [投票(2)] |
★4 | 悪い夏(2024/日) | フィクショナルな人物群の物語であるにせよ生活保護の支給に対する役所の恣意性を取り上げた点はいい。役者もあっち側の窪田・河合の適合、こっち側の伊藤の予想外の没入と見応えがある。ただガラガラポンにぶん投げた終局は積み上げを放逐した。 | [投票] |
★5 | ふがいない僕は空を見た(2012/日) | 底知れぬ闇を背負った主婦と友人に挟まれ空を見上げる「僕」は自分のエロ動画を晒されてもイジける次元に居ない。田畑と窪田が踏み出す明日には良い事あるだろう…多分。そして、新たな命への賛歌。願わずにいられないささやかな希望。脚色こそ神業。 | [投票(1)] |